なんですか、この役に立ちまくるマンガは!
望月あづみ『ゆづきさん、沸きました。』第1巻(小学館)は、女子が風呂に入っているだけのマンガです。でも、単にお色気担当マンガというわけではありません。いうなれば、お風呂を利用した『クッキングパパ』ですね。『クッキングパパ』は、日常のさまざまな問題を料理で解決します。料理で問題を解決するマンガとしては『美味しんぼ』もありますが、『美味しんぼ』は、やたらと小難しい社会問題がテーマになりがちなのに対して『クッキングパパ』は、日常にありがちな問題を取り上げ、かつレシピまで教えてくれます。
『ゆづきさん、沸きました。』は『クッキングパパ』の料理が風呂になったものだと考えてください。
物語のヒロイン・ゆづきさんはデザイン事務所で働いています。第1話でブックデザインの作業に追われているところを見ると、結構なベテランのようです。でも、仕事が忙しいということは毎日、机の前でパソコンと向かい合っているわけですから、肩にも腰にも悪そうですね。
そんな彼女を癒やしてくれるのが、毎日のお風呂です。ゆづきさん、自宅の給湯器の「お風呂が沸きました」の機械音だけで「この湯浴みのひとときのために生きているのよ!」とアヘ顔になってしまうくらいの風呂好きなのです。
それくらいの風呂好きですから、単に湯に浸かるだけではありません。ちゃんと読者にわかりやすく工夫を解説しながら、お風呂に入ってくれるんです。半身浴をすれば「いきなり首まで浸かると負担がかかるから、イスを沈めるの」とか「朝のお風呂は少し熱め。40℃くらいがオススメ」とか、1ページあたりの情報量が多いのもうれしいです。ちなみに、ゆずきさんは妙に巨乳なので、いろんな意味で目の保養にもなります。
でも、料理と違って風呂にそんなに描くことがあるのかと思いきや、ネタはまったく枯れる気配を見せません。重曹とクエン酸を使えば家庭で炭酸泉が楽しめるとか、風呂掃除も入浴しながらやれば楽にできるとか、ちょっとした工夫を教えてくれます。かと思えば、顔がむくんだら、お風呂でマッサージするポイントを。ダイエットをしたいなら、お風呂に入りながらの効率的な運動方法など、ゆずきさんは、ほぼ全裸で丁寧に読者に指導してくれるのです。
加えて、毎回自宅の風呂を描くだけではなく、時々登場する同僚や姉を交えて、ユニットバスでもお風呂は楽しくなることや、スーパー銭湯の面白さまでが次々と描かれます。とにかく風呂が日常の嫌なことをすべて忘れてハッピーにしてくれるんです。
そんなうれしい全裸指導の作品ですが、掲載誌の「サンデーGX」(小学館)が乳首NGのためか、シャワーのホースなどさまざまな方法で、自然に乳首を隠そうとする作者の努力も見事です。
ゆづきさんの親切なお風呂指導に惚れてしまう本作。せっかくだから、半身浴しながら読むのがよいのではないでしょうか?
(文=大居候)
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