ゲーマーの4~10%が依存症!? ゲームが脳に与える“好影響”と“悪影響”

■ゲームが脳に与える“好影響”と“悪影響”

 成長期にビデオゲームに熱中すると感情の発達に深刻な悪影響を及ぼし危険な「ゲーム脳」になるという説が世間を騒がせたことが十数年前にあり、子どもを持つ親たちの懸念を煽り立てたことがあった。その後の研究で、ビデオゲームが脳に特に“悪影響”を及ぼすわけではなく、“好影響”も与えているという考えが主流になっている。先ごろ、ゲーム好きな子どもの脳はそうでない子どもとは少し違っているという研究が発表された。

 米・ユタ大学と韓国・中央大学校の合同研究チームは、オンラインゲーム依存症の10~19歳の青少年106人の脳を、fMRI(磁気共鳴機能画像法)で測定して脳の働き分析し、症状のない青少年80人の脳の動きと比較検証した。するとオンラインゲーム依存症の脳は、視覚や聴覚に関わる脳神経ネッワークの働きが優れていることがわかったという。これは顕著性ネットワーク(Salience Network)と呼ばれる脳の領域で、直面した出来事に対する注意と反応に関わる働きをしていると考えられている。

「これらの脳のネットワークが高速化することで、目標に対する注意力を向上させ、周囲の新たな情報を把握する能力を高めてくれます。つまり、より効率の良い思考ができるということなのです」と、研究を主導するジェフリー・アンダーソン准教授はユタ大学のサイトで述べている。

 まさにビデオゲームが脳に与える“好影響”といってもいいものなのだが、一方でこの脳の状態は、注意力の散漫を引き起こしたり、衝動のコントロールがうまくできなくなるなどの“悪影響”をもたらすことにもなるというから厄介だ。この脳の状態は、統合失調症やダウン症、自閉症などの患者の脳にも多く見られるという。

 今回の研究で、オンラインゲーム依存症患者の脳の特徴が浮き彫りになったわけだが、ゲームに没頭するあまりそうなってしまったのか、もともとこのような特徴を持つ者がゲームに入れ込んでしまっているのかについては、まだよくわかっていないということだ。そしてもちろん、ビデオゲームのジャンルによっても事態はまた違ったものになるかもしれない。アクションゲームとシミュレーションゲームでは脳の働かせ方がかなり異なるからだ。

 十数年前に世間を騒がせた「ゲーム脳」という考え方は否定された格好にはなっているが、ビデオゲームが脳に何らかの影響を与えるものであることは濃厚になってきたと言えそうだ。“好影響”と共に“悪影響”も念頭に置きつつ、末永くビデオゲームを楽しみたいものである。
(文/仲田しんじ)

【参考】
・CNN
http://edition.cnn.com/2016/01/06/health/video-games-addiction-gentile-feat/

・ユタ大学
http://healthcare.utah.edu/publicaffairs/news/2015/12/122115_WiredForGaming.php

・Science Alert
http://www.sciencealert.com/the-brains-of-compulsive-gamers-are-wired-differently-study-finds

インターネット・ゲーム依存症 ネトゲからスマホまで (文春新書)

インターネット・ゲーム依存症 ネトゲからスマホまで (文春新書)

いい面もあれば悪い面もある、それを理解しないとね。

ゲーマーの4~10%が依存症!? ゲームが脳に与える“好影響”と“悪影響”のページです。おたぽるは、コンシューマーゲームゲームの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!