「笑い男が悪役だと!?」「尺考えろ」ハリウッド版『攻殻機動隊』“悪役の笑い男”の役者が報じられネット大荒れ!?

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YouTube『パチスロ攻殻機動隊S.A.C. ショートムービー』より。

　スカーレット・ヨハンソン主演で、17年3月に全米公開を予定している『Ghost In The Shell（原題）』……ハリウッド実写映画版『攻殻機動隊』。このほど、「（同作で）“笑い男”を演じる俳優が、マイケル・ピットである」と、米エンタメ誌『ハリウッド・レポーター』が報じた。笑い男といえば、TVアニメ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』（以下、『S.A.C.』）における最重要キャラクターで、『攻殻機動隊』全体を見渡しても、特に人気が高いキャラクター。これはキャスティングにたいして、ファンからの批判が集中するかと思いきや、ピットではなく、ほかの部分を問題視する声が多く上がっている。

　神山健治氏が監督を務めたTVアニメ『S.A.C.』。全26話で構成された同作は、1話完結の物語もあるが、全話通じて“笑い男事件”を軸に描いている。この事件は、セラノ・ゲノミクス社の社長・瀬良野氏の誘拐から端を発し、その事件が報道された際に瀬良野氏、犯人、さらにはテレビ局のスタッフにまでポップなマーク“笑い男”が上書きされたことにより、“笑い男事件”と呼ばれるようになった。その犯人とされているのが、とある超特A級ハッカーの青年。「事件を起こす＝悪者」となってしまいがちだが、実はマイクロマシン治療に於ける不正を告発しようと引き起こした結果であり、“笑い男”は単純な悪者などではない。

　最終的には、主人公・草薙素子やバトーらが所属する公安9課の課長、荒巻大輔にハッキングの腕前を買われ、公安9課の9人目のメンバーとして誘われたほどで、この重要な役どころをハリウッド版『攻殻機動隊』ではマイケル・ピットが演じるという。

　国内での知名度はそこまでではないものの、マイケル・ピットは『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』でヘドウィグが夢中になる若手ミュージシャンのトミー・ノーシスや、カート・コバーンの最期を描いたガス・ヴァン・サント監督作品『ラストデイズ』で主人公・ブレイクを演じてきた実力派。しかし、「笑い男か」と言われれば微妙だ。となると、ファンからは「思ってたのと違う」という声が広がりそうだが、そうした声は不思議と少ない。では、OKかというと、それも違う。ファンは役者云々ではなく、笑い男事件を扱うことを問題視している。

　1話30分、全26話で構成された『S.A.C.』のメイン、笑い男事件。それを映画の尺で作ることに対し、「笑い男事件を映画の尺に詰め込むのか。微妙そうだな」「何で笑い男にするかね。あの脚本、2時間映画にしたら絶対クレームの嵐だろ。人形使いのほうがやりやすいだろうに」「『S.A.C.』のテーマがどこかに吹き飛んで、スーパーハッカーの笑い男が複数の人格を乗っ取って事件起こすとかになりそう」など、すでに失敗する予想が始まってしまった。ちなみに、“人形使い”とは『GHOST IN THE SHELL／攻殻機動隊』に登場するハッカーで、同じ映画というメディアでやるのであれば、こちらのほうが妥当だろう。それに、原題だって『GHOST IN THE SHELL』としているのだから。

　また、笑い男に関してはマークも大切であり、「マーク使うんかなぁ」「笑い男マークは重要だよな」「笑い男役より笑い男マークさえしっかりコピーできればいいよ」「スマイルとかでやったりしないだろうな!?」という声も。さらに、マイケル・ピットが報じられた記事に、「悪役の“笑い男”」と記載されており、「笑い男が悪役だと？」「いつから笑い男は悪役になったんだ!?」「そもそも笑い男は悪役ではないが」「笑い男悪役ってシナリオ台なしだな」「笑い男が悪役だと!?　怒らせんなよ、アメ公！大正義じゃねーか、クソ確定」と怒るファンも続出している。翻訳を重ねて、細かな齟齬が出ただけと信じたいところだが……。

　ほかにも、「笑い男がピエロのマスク被ってる予感」「笑い男事件とか、アメリカ人に理解できるのかよ」「笑い男編は神。汚さないでほしい」「つうか、笑い男じゃ原作関係ないじゃん」「笑い男やるならTVドラマにしてほしかった」など、不安を感じるファンは多い。ただ、「笑い男だけギュッとやった作品もあったよな。あれは面白かったけど」という声のとおり、『S.A.C.』を編集し、2時間40分にまとめた『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man』もDVDとして発売されており、1本の作品としても楽しめるよう仕上がっている。だからといって、「それならハリウッド版も安心だ！」とはならないが……。

『Ghost In The Shell』を謳いながら、まさかの笑い男事件。変な意味で天然オイルが流れてしまう作品にならないことを願う。

クソ映画になって、押井監督にぼろくそに評論される、という展開になっても面白いかもしれない、ある意味で。