リアル腐女子が描く妄想ワールド。とはいっても、BL作品ではありません。こんな夢のような状況が生まれたら絶対に困るだろうという物語。それが、あきの実『神マンガ家が義兄になりそうな件』第1巻(実業之日本社)です。
まず、この作品。どういう販売戦略なのか、カバーの折り返しにある作者紹介が物語の主人公・ブチオカ珍子の紹介になっています。
主人公は20歳。フリーターをしながらBL同人にいそしんでいる腐女子なのですが、このペンネームはないでしょう……。紹介文も「ちょっぴり後悔している」となっております。で、販売にあたって、わざわざブチオカ珍子のTwitterアカウントまでつくっているではありませんか! ただ、1月末現在でフォロワー数は40人あまり。ちょっと少なすぎて心配なので、心ある読者はフォローしてあげてはいかがでしょう。
●https://twitter.com/buchiokachinko
さて、とりあえずフォローをしておいてからレビューをば。物語は、タイトル通りブチオカ珍子こと高野風花が神とあがめる作品『カミサマ×ダンジョン』の作者・神崎リョウが、義理の兄妹になってしまいそうになるというものです。神崎先生、マンガ家なのでちょいオシャレなカフェで仕事するのが習慣らしく、そこで店員である風花の姉と知り合っちゃったわけなんです。
もっとも、姉はマンガを読まないので、神崎先生がどれだけスゴいマンガ家なのか、まったく気にも留めていません。いや、マンガ家の配偶者の中には、あたかも自分もすごい才能の持ち主かのごとく勘違いしちゃう人もいるわけで(某少年誌で連載していた作家の嫁が、名刺にわざわざ○○の嫁ですと書いていた実話が)、まったく興味がないのはむしろ幸いです。
ですが風花にとっては、人生の一大事であります。自らの神が目の前に降臨する。それどころか、義理とはいえ兄妹になることができる! その興奮を隠すことはできません。
しかし、それは新たな悩みの始まりだったのです。なぜなら、神の描いているのは純粋な少年マンガ。なのに自らの欲望のためにホモ同人にしているんですから。
「絶対にバレてはいけない……私が腐女子だということは!」
それよりも恐ろしいのは、腐女子の世界の掟です。というのも、腐女子の世界では神とつながりがあると知られてもいけないのだそうです。そんなことが知られたら「腐女子裁判で極刑」もありうるというのです。腐女子ってガチで怖いですね……。
しかし、サイン会など神にバレそうな機会は、次々と訪れます。おまけに、先生に内緒で『カミサマ×ダンジョン』の男性向けエロ同人を描いている神崎先生のアシスタント・赤坂も登場して、事態は混迷を深めていくのです。
これだけBLもメジャーになった時代に、先生も耐性はあると思うんですが、腐女子とは複雑なものです。でも、自分が作者だったら、アシスタントがこっそり自分の作品のエロ同人をつくっているほうがイヤじゃないかと、思いました。
(文=大居候)
『神マンガ家が義兄になりそうな件』(あきの実) 腐女子の世界って怖いな……のページです。おたぽるは、漫画、マンガ&ラノベ、作品レビュー、腐女子、あきの実、実業之日本社、神マンガ家が義兄になりそうな件、高野風花の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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