コンペ応募作品の審査もできない!「東京アニメアワードフェスティバル2016」の運営は破綻状態

●東京都は「回答する立場にない」

 そもそも、動画協会と江口氏らの間に、どのような問題が生じていたのか。動画協会内の関係者は語る。

「火種になったのは、昨年3月のオープニングセレモニーです。ゲストに西川貴教さんが来場する予定で、三越前駅の地下通路の使用許可を得て調整していたのですが、直前になって動画協会側の不手際でキャンセルになり、協力してくれていた三井不動産が激怒する事態になったんです」

 昨年、オープニングセレモニーが開催された三越前駅からコレド室町へつながる地下道は、中央区が管理する道路。西川氏が来場するという前提で、会場であるコレド室町を管理する三井不動産の協力で、ファンが詰めかけることも想定し警察・消防などとも折衝を重ねていた。ところが、動画協会側は間際になっても西川氏に段取りを一切伝えていなかったようだ。

「このことは動画協会内部でも問題になりました。また、映画祭運営に精通した江口さんからも、このままでは信用を失うと強く問題提起されたそうです。そこで、反省を踏まえて2016年の開催に向けて動いていたのに、どういうわけか突然、動画協会が解任を告知したのです。しかも、解任にあたって経費の精算も行っておらず、江口さんらへの支払いもすべて止めているんです」(動画協会関係者)

 招聘予定だった海外のアニメーション制作者や各国政府の文化担当、大使館などにも問題は知れ渡っている。とりわけコンペ応募者や招待が予定されていた作品の制作者からは、関係者に怒りの声も寄せられているという。

 国際的に信用を失いかねない事態になっている現状を、共催に名を連ね5,000万円を出資する東京都は、どう考えているのか。東京都の担当者である産業労働局観光部振興課の課長・若林和彦氏にも電話で話を聞いた。

「東京都の役割は助言と広報です。主催は、実行委員会ですから東京都は回答する立場にありません。私はきちんとやっていると聞いていますよ……誰からって? 事務局の松本さんからですよ」

 動画協会側が仮処分を申請しているということについて知っているのか尋ねても「お答えする立場にない」と繰り返す。さらに、実行委員会では江口氏らの解任を決議していない点を指摘すると、

「ホームページ見ていますか? “フェスティバルディレクター等解任の件”のところに、“一般社団法人日本動画協会及び東京アニメアワードフェスティバル実行委員会は”と書いてあるじゃないですか。実行委員会の会議は東京都の会議ではありませんから、内容を申し上げることはできません」

 さらに質問を続けようとすると、

「あの、今日は遅い時間でも起きていらっしゃいますか? 夜遅くになりますが、改めてお電話しますので」

 そのまま一晩待ったが、いまだに若林氏から折り返しの電話はない。

●「3月が過ぎてから話しますから」

 これまで何度か取材をしたことのある、フェスティバル事務局の北上浩司氏は、何度目かの電話にようやく出た。

──用件はわかりますよね。

「はい……でも訴訟になっていますので、今はなにも話すことはできません」

──開催が困難な事態になっていますよね?

「いいえ、開催されます。とにかく今記事を書かれると困ります。3月が過ぎてから話しますから……」

──行政のお金で運営してるのに?

「………」

 この電話の直後、公式サイトには開催概要が掲載された。果たして、3月18日までにコンペ作品の審査と受賞者決定、来日の折衝ができるのだろうか。
(文=ルポライター/昼間たかし http://t-hiruma.jp/

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