『東京コスモ』やコマ撮りの高校生が話題だった昨年 今年の自主制作界隈は果たして?

2016.01.14

 年が明け、また卒業制作展のシーズンがやってきた。早いところでは、1月13日から17日までの名古屋学芸大学や1月15日から18日までの武蔵野美術大学などがある中、例年2月から3月まで、各地で今後を占う作品をまとめて見られる機会になっている。

『東京コスモ』は出身校でも激励

 昨年の年始はYouTubeの開設から10周年ということと合わせて卒業制作や自主制作などを振り返ってみたが(記事参照)、今回は話題となった『東京コスモ』を導入として数作品を取り上げてみよう。

■公開1カ月で100万再生の『東京コスモ』 卒業後も自主制作を続ける根気次第?


『東京コスモ』(宮内貴広・岡田拓也)

 昨年の話題作『東京コスモ』は、YouTubeにて昨年10月末の公開から1カ月で100万再生の大台に乗った。注目度を含め、商用展開しても遜色のない作品という観点では、2009年の『フミコの告白』(石田祐康)に匹敵するともいえ、10年代初となる待望の大ヒット作品が登場したことになる。

 並行して応募している映画祭やコンテストでも評価が高く、富山で開催の「水辺の映像祭スフィア2015」でグランプリなどを獲得。名古屋にある出身校のトライデントコンピュータ専門学校も激励するかたちとなり、「国際デジタルアニメーションフェスティバルNAGOYA 2015」でも準グランプリとなった。

 ちなみに「国際デジタルアニメーションフェスティバルNAGOYA 2015」で審査委員長を務めているのはポリゴン・ピクチュアズの塩田周三社長である。老舗のCG制作会社である同社はアニメ『シドニアの騎士』以降、アニメファンにも広く知られるようになった。塩田社長は以前より映画祭やコンテストでの審査経験が多いので、マメに応募している人なら1度は名前を目にしたことがあるはずだ。

授賞式@国際デジタルアニメーションフェスティバルNAGOYA 2015

 なお『東京コスモ』の作者が所属しているのは著名な映像制作会社の白組であることから、上手くて当然との意見も聞かれる。しかし本作は社内で企画された作品でなく、入社後に4年かけて業務の合間に制作した、れっきとした自主制作なのだ(卒業制作の『CHILDREN』は昨年の本文でも触れている)。

 企業が制作するオリジナルの短編作品(ショートシリーズ含む)は、ビジネスが前提かつ予めアウトプット先が決まっていることが多い。だが、例えば3、4年前では映像制作会社の太陽企画に所属するクリエイターたちの自主制作作品が健闘していた。映画祭やコンテストでは商用の短編よりも学生作品が主流となりがちな中、オリジナルや通常業務の傍らに合間を縫って行う自主制作が、かなり根気を要することになるのは想像に難くない。

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