【劇場アニメレビュー】気合の入った描写は一見の価値ありも、“意あまって力及ばず”、周辺の設定も残念だった『ガラスの花と壊す世界』

 とはいえ、ありきたりな言い方ではあるが、私自身、日本のアニメーションのレベルはTV&映画ともに世界のトップだと思っている。しかし、それがいまだに一般に浸透せず、理解されていないのが毎度悔しいのだ。(映画マスコミにしても、ロクに見もせず茶々を入れる輩の何と多いことか。そのくせジブリ作品みたいなものだけ「アニメにしては出来がいいじゃないか」などと嫌味な褒めかたをする)

 本作にしても、もっと間口を広げて、老若男女とまでいわなくても、アニメのコアユーザー以外がすんなり入り込めるようなテイストのものを作れる可能性は大いにあったはずだし、これからの日本のアニメーションは総じて作る側も意識改革していくべきではないか。

 その意味では、本作の上映時間にしても、せめて90分くらいあって良かったとは思うのだが、同時に70分にも満たない映画1本に一般入場料金1800円払うというのも何だかなといった感は否めず(ちなみに同時期公開の『傷物語〈Ⅰ鉄血篇〉』はおよそ60分の上映時間で、特別一般料金1500円。それでも高いと思った。いや、面白ければ1800円でもいいのですよ、面白ければ……)、おまけにパンフレットを買おうとしたら、何と2000円ときた! 入場料金より高いパンフレットとは、あまりにもファンをなめてはいないか?
(せめて豪華版と通常版と分けてくれればいいものを。『ガールズ&パンツァー劇場版』のパンフなんて税込820円という、実写映画並みの価格だったぞ。あ、さらにガルパンはおよそ120分の上映時間で通常価格の1800円と、これは安い!)

 何だか作品そのものの評価とは異なるところで、こちらの鑑賞意欲を萎えさせてしまう仕打ちの数々こそ、今のアニメーション映画の置かれた問題点のような気がしてならない。

 やはり製作サイドの意識改革は必要だ。
文/増當竜也

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