『公務ですから!』今や時代はゆるキャラからヒーローへ!? お役所コメディ、でもフンワリ温かい

 今回は、昨年末に第3巻をもって完結した『公務ですから!』(原作・絵コンテ:坂口いく 作画:清水ユウ/スクウェア・エニックス)の魅力をお伝えしたい。タイトルからすると、サラリーマンの苦悩を描くとか、職業ものを思い浮かべるかも知れないし、実際にとある市役所に勤めるサラリーマンを描いた作品には違いない。ただ普通の職業ものと異なるのは、その仕事内容が「ヒーロー」であるというところ。市役所職員がヒーロー!? しかも高学歴で勤勉なイケメンが、である。これはチェックしておかねば、と思わないだろうか?

 天下のT大を卒業した結城真一は、市役所の観光課に配属されて1カ月で仕事内容はきちんと把握するなど、クソ真面目な堅物。ある日、街おこしのための議題を整理しているうちに、先輩である佐倉鉄矢が30万円の予算でヒーローを作ると言い出した。過去にゆるキャラで失敗している佐倉だったが、実は彼の妹、聡美は駆け出しのマンガ家で特撮ヒーローオタク。翌日には聡美によるデザインラフが送られてきて、あれよあれよという間に結城は「特別機動公務員ロボ・ガッテンダー」の“中の人”になることに!?

 まずは地元の幼稚園児たちとの美化活動から、徐々に活躍範囲を広げていくガッテンダー。地味な活動を経ていくうちに、結城はヒーローの存在意義に気づいていき、ガッテンダーをより良くしようと奮闘する。新人賞を獲ってからまだ一度も連載を持ったことのないマンガ家の聡美も、自分の気持ちを込めて作ったヒーローの活躍や、シナリオ内容の成功に一喜一憂し、結城とともにご当地ヒーローをもっと活躍させたいと思うように……。兄の鉄矢や、御厨、新人の花ちゃんもガッテンダーの活躍のために奔走し、東京進出まで果たした。そして聡美は連載を持つことができるまでに成長する。思わぬ成功にみんなで歓喜するが、ガッテンダーにはまだまだ試練と公務が続く。

 佐倉の息子の誠が「サンタさんは本当はお父さんだった」ことに気づいてしまい、大人はみんな嘘つきだと心を閉ざしてしまったところへ、結城が率直にヒーロー論を説くシーンに思わず涙したり、なかなかネームが通らない聡美の葛藤に感情移入してしまったり、さまざまなゆるキャラやヒーローたち、そして“中の人”との交流に心温まったり、本作はコメディタッチでありながらも押さえるところは押さえている。エリートの結城が観光課から他部署へ引き抜かれそうになる危機も乗り越え、ガッテンダーが軌道に乗った頃、聡美は自分の結城への恋心に気付くが……?

公務ですから! (1) (ビッグガンガンコミックス)

公務ですから! (1) (ビッグガンガンコミックス)

各地のゆるキャラやローカルヒーローたちにも色んなドラマがあるんでしょうね

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