映画と並び一大エンターテインメント産業のビデオゲームだが、昨今のクラウドファンディングの普及や、ゲーム制作を容易にする優れたゲームエンジンの登場もあってか、これまでなら商業的に難しいと思われる作品でも世に出やすくなってきているのは確かなようだ。クリエイターの“個人的体験”を押し出した作品も多く、その中でも心を痛めずにプレイできないゲームとして注目を集めているのが、我が子の小児がん闘病の日々をモチーフにしたアドベンチャー『That Dragon, Cancer』だ。
■最愛の息子のがん告知から闘病の日々をゲームを通じて追体験
米・コロラド州ラブランドを拠点にするインディーズデベロッパー、Numinous Gamesが手がけ1月12日にSteamからリリースされるこの『That Dragon, Cancer』(PC版、Mac版、Ouya版)は、4年間の脳がん闘病の末に5歳の時に亡くなった男の子・ジョエル君の短い生涯をモチーフにしたハートブレイキングなアドベンチャーゲームである。
ジョエル君の父親であるプログラマーのライアン・グリーン氏と、妻のエイミー・グリーン氏に加え、夫妻の友人でアーティストのジョシュ・ラーソン氏によって、約1年間を費やして完成にこぎつけたのがこの『That Dragon, Cancer』だ。プレイヤーの想像の余地を残すためにあえて荒いポリゴンで作り上げたビジュアルで、父親のグリーン氏の視点に立ち、最愛の息子のがん告知から闘病の日々をゲームを通じて追体験できる内容になっている。
発売日の1月12日には、ジョエル君が大好きだったパンケーキで一緒にお祝いしてくださいという提案が『That Dragon, Cancer』公式サイトで呼びかけられている。もともと本作は、小児がんと闘うジョエル君への“応援歌”として企画されたものであったが、残念ながら4年間の闘病生活の後、2014年3月に5歳でその短すぎる生涯を閉じた。この時点で企画を“ボツ”にする選択もあったというが、多くの思い出を残してくれたジョエル君のため、そしてジョエル君を応援してくれた人々と、世界中で同じ境遇にいる親たちのために、趣旨を変更して開発は続行されることになり本作が生まれたのだ。
当然のことながら心が痛むストーリーであり、マーケティング上は難しいといわざるを得ないのだが、クラウドファンディング時代の今、こうした作品の登場が不可能ではなくなってきている。はたして『That Dragon, Cancer』がどのようなゲーム体験をもたらしてくれるのか大いに気になるところだ。
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