~私は如何にして心配するのを止めてYUIMETALを愛するようになったか~ 第6章

BABYMETALの“メタルレジスタンス”を追う―お辞儀の深さが世界を変える。

――アイドルにまるで興味なかった。なのにどうして今、私は16才の少女のお辞儀の深さを見習い、仕事でもプライベートでもどこでも深々とお辞儀をしているのか。これは、32才男の“メタルレジスタンス”参戦の記録である。

1512_babymetal.jpg(イラスト/竹内道宏)

■「お辞儀が“夢”を叶えていく」

「由結には心から大好きで信じている仲間もいるし、先生もいるし、卒業生もいるし、父兄さんもいます。この先辛いことがあってもこの5年間を力にして、明日からYUIMETALとしての夢と水野由結としての夢、全部叶えたいのでこれからも応援よろしくお願いします。」

 NHKホールで少女はそう言うと深々とお辞儀し、目に涙を溜めてステージを去っていった。15才にとって5年間は人生の3分の1。どれほどの想いが詰まっているのだろう。その全てを完全燃焼させる今年3月のさくら学院の2014年度卒業式は、「これが最後なんだ」と一瞬一瞬を宝物のように大切に拾い集めていた。

 卒業証書授与式の答辞。MOAMETALこと菊地最愛がBABYMETALの活動(レディー・ガガとのアメリカツアー)によって出演できなかった昨年のアイドルフェス・TIFの話題に触れると、大粒の涙が溢れた。TIFでさくら学院として出演することは毎年恒例で、その少女にとって大きな夢でもあったはずだ。しかし、それを犠牲にしてまで多くの人に夢を与えることをBABYMETALは選んだ。そこで決めた覚悟と、心に抱いた決意。当時15才の女の子にとってどれほど大きいものだったのか。想像するとこちらまで涙が溢れ、顔がトマトのように真っ赤になった。

 BABYMETALの成功はメタルを元々知らなかった彼女たちにとって、本当に“夢”なのだろうか。客席で盛り上がっている自分にそう自問する時期があった。

 多くの大人たちが歓喜するメタルマスターとの邂逅も、彼女たちにとってはただの外国の知らないおじさんとの接触なのかも知れない。大人たちの夢を少女たちに託してしまっている気がして、これで楽しんでいいのだろうかと不安に思っていた。

 こちらが楽しくさせてもらっているからこそ、彼女たちにもっと楽しんでほしい。

 それが叶う瞬間が、まさか数ヶ月後に目撃できるとは。8月、出演したサマーソニックで世界的に大人気の歌手アリアナ・グランデに会い、写真の中で彼女は肩に優しく手を置いた。

「いつかアリアナ・グランデさんに会うコトを夢みていて、会えた時のためにも英語の勉強に取り組んでいます。」

 かつてさくら学院のオフィシャルブログ『学院日誌』にはこう書かれていた。一人の少女がずっと抱いていた夢を叶える瞬間というものは、なんて眩しいのか。写真の中で幸せそうな笑みを浮かべる少女こそ、YUIMETAL。水野由結が卒業式で流した涙はもう一つの姿・YUIMETALの満面の笑顔に変わり、過去が現在を作り出していたのだ。

BABYMETALの“メタルレジスタンス”を追う―お辞儀の深さが世界を変える。のページです。おたぽるは、人気連載アイドルアイドル&声優その他音楽の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!