大塚周夫、たてかべ和也、水木しげる… 2015年、オタクを悲しませた訃報<男性編>

1512_kojin_dansei.jpg水木プロダクション公式サイト「げげげ通信」公式Twitter(@mizukipro)より。

 生まれたからには、必ず死が訪れる――2015年も多くの訃報が世の中を悲しみに包んだ。

「おたぽる」では、世のオタクたちを悲しませた訃報を男性と女性に分け、改めて伝えると共に、もう1度、故人を偲びたいと思う。まずは男性から。

■藤本信行(脚本家)
 TVドラマのほか、『サザエさん』『ドラえもん』など、国民的アニメの脚本も手掛けた藤本氏は、年明け早々の1月4日、上縦隔腫瘍のため死去した。『のび太の結婚前夜』『おばあちゃんの思い出』といった、涙を誘う劇場版『ドラえもん』が忘れられない。享年57歳。

■大塚周夫(俳優、声優、ナレーター)
 特徴的な渋みのある声で『ゲゲゲの鬼太郎』のねずみ男から、近年では『ONE PIECE』のゴールド・ロジャーなどを演じていた大塚氏が、1月15日、虚血性心不全のためこの世を去った。俳優であり声優でもある息子・明夫には、父の分まで声を聞かせてほしい。享年85歳。

■平井和正(作家)
『ウルフガイ』『8マン』『幻魔大戦』など、当時ではあまり見られなかった、多くのSF作品を生み出し、ファンを魅了してきた平井氏。“ライトノベルの元祖”とも称されていた同氏は、1月17日に急性心不全により亡くなった。享年76歳。

■西沢信孝(アニメーション監督、アニメプロデューサー)
 西沢氏は、『魔法使いサリー』『マジンガーZ』『SLAM DUNK』など、各年代の少年少女の代表作とも言える作品を世に送り出してきた。しかし3月、『地獄先生ぬ~べ~』の岡野剛氏(@Takeshi_Okano)が、「今日編集者から聞いて知ったのですが、ぬ~べ~アニメのプロデューサーだった東映アニメの西澤信孝さんが、3月4日に亡くなられていたそうです。私が子供の頃夢中で見てたマジンガーZなどを手がけていらした、大ベテラン。サングラスの似合うダンディなかたでした。ご冥福をお祈りします」とツイートし、多くの人が西沢氏の訃報を知ることに。同氏の誕生日(3月8日)目前だった。享年74歳。

■成沢大輔(ゲーム評論家、ゲーム攻略本ライター)
『ダービースタリオン』シリーズで、多くの記事や攻略本を執筆してきた“ダビスタの伝道師”成沢氏の訃報は、同氏の知人や友人の知らせにより広まった。有名であれ、前評価が高いものであれ、面白くないものはバシバシ切り捨てる的確な辛口コメントで人気を博した成沢氏。最後のつぶやき(@Abingdoni_Nari)は、「本日、ネットラジオ・ソラトニワステーション銀座『銀座競馬倶楽部 村上卓史の馬イイ話』に薗部さんと一緒に生出演します。17時20分から18時00分あたりまでの予定です。お時間あればぜひ」と、やはり競馬だった。3月6日永眠、享年49歳。

■辰巳ヨシヒロ(マンガ家)
 辰巳氏は1950年代にマンガ界に現れ、映画的な表現を導入するなど、斬新なスタイル“劇画”で旋風を巻き起こした。その辰巳氏は、3月7日に悪性リンパ腫のため死去。14年に日本でも公開された、同氏の半生を描いた映画『TATSUMI マンガに革命を起こした男』は、生前の同氏が声の出演をした、たいへん貴重なアニメーション作品だ。享年79歳。

■小川真司(俳優、声優、ナレーター)
『北斗の拳』『のだめカンタービレ』などのTVアニメのほか、ロバート・デ・ニーロやマイケル・ダグラスなど、ハリウッド俳優の吹き替えを担当していた小川氏。シャイで、気遣い屋で優しい笑顔を振り撒く同氏だが、仕事のときは職人肌。マイク前の圧倒的存在感は、多くの声優の手本となったという。3月7日、器質化肺炎により他界。享年74歳。

■小島功(マンガ家)
 妖艶で滑らかな曲線で女性を描いた『ヒゲとボイン』や『仙人部落』などを手がけ、女と酒を愛し続けた小島氏が、4月14日に逝去。脳出血だった。なお、清酒・黄桜のCMに出てくるカッパも小島氏が描いている。享年87歳。

■愛川欽也(俳優、声優など)
『なるほど!ザ・ワールド』などで見せる名司会っぷりのほか、俳優、さらには『妖怪人間ベム』『いなかっぺ大将』といったTVアニメにも声優として参加してきた、“キンキン”こと愛川欽也氏は、4月15日に亡くなった。死因となった肺がんには長年苦しめられてきたようだが、復帰を目指し最後まで仕事のことを考えていた。愛川氏、お馴染みのフレーズ「お待っとさんでした」に癒された人は多いだろう。享年80歳。

■西本裕行(俳優、声優)
『怒りの葡萄』『沈黙』など、舞台やテレビ・映画などで活躍し、『ムーミン』のスナフキンの声も務めた西本氏。『太陽にほえろ!』では、洋服を着たまま海中でのバトルシーンを体当たりで演じたりもしたそうだ。そんなパワフルな西本氏も、4月19日、急性大動脈解離のため帰らぬ人となってしまった。享年88歳。

■望月武(脚本家、小説家)
 映画やTVドラマに加え、『花田少年史』や『名探偵コナン』などの脚本を手掛けてきた望月氏が、5月14日に逝去。死因は急性心筋梗塞だった。コナンくんも顔負けの冴え渡った思考力で、「横溝正史ミステリ大賞」テレビ東京賞も受賞している。享年46歳。

■たてかべ和也(俳優、声優)
 いじめっ子なのに憎めないガキ大将・ジャイアンの声でお馴染みのたてかべ氏も、6月18日に急性呼吸器不全のため死去。「元気」「勇気」「人気」をモットーにジャイアンを演じてきた同氏のリサイタルを聴くことはもうできない。スネ夫役・肝付兼太の「ジャイアンのくせに、なんで先に逝っちゃうんだよぅ」という言葉が胸に刺さった。享年80歳。

■滝沢敏文(アニメーション演出家、アニメーション監督)
『伝説巨神イデオン』『ダーティペア』など、多くのSF・ロボットアニメを演出してきた滝沢氏。『SAMURAI 7』など、海外でも愛される作品も同氏が手がけている。前日まで犬の散歩をしたりと、普通の暮らしをしていたが、6月22日、食道がんのためこの世を去った。享年61歳。

■うえだひでひと(アニメーション監督)
『タイムボカン』シリーズや『あかぬけ一番』など、竜の子プロダクション時代の名作を数多く作り上げてきたうえだ氏は、6月28日にこの世を後に。1年半以上のがんとの闘病の末だった。かつての同僚だった小山高生氏も「自分よりも若い人の訃報は堪らない。タツノコプロの後輩であり、戦友だった」と悲しみを伝えていた。享年61歳。

■岩田聡(プログラマ、経営者)
 42歳という若さで任天堂の社長に登りつめた天才プログラマ・岩田氏は、胆管腫瘍のため、7月11日に逝去。ニンテンドーDS、Wiiなど、子どもやゲーマーだけでなく、さまざな層から愛される商品を生み出してきた。同氏の想いを引き継いで、次のゲーム業界を引っ張っていく人が任天堂から現れることを切に願う。享年55歳。

■斉藤瑞樹(声優)
『サクラ大戦TV』や『星のカービィ』などで活躍し、劇団すごろくや演劇部隊チャッターギャングに所属していた声優・斉藤氏。食べることが好きで、趣味が「食べすぎ」という茶目っ気たっぷりな人だった。しかし、9月2日、肺動脈血栓が原因となり、この世を去った。享年41歳。

■丸山詠二(声優、俳優)
『ウルトラセブン』などの特撮ものから、『新世紀エヴァンゲリオン』『忍たま乱太郎』など、幅広いアニメやドラマに出演していた丸山氏が、9月24日、その人生に幕を下ろした。主役ではなく、落ち着いた声で作品に安定感を与えるバイプレーヤー。享年84歳。

■熊倉一雄(俳優、声優、演出家)
『ピノキオ』など数多くのディズニー作品や『名探偵ポワロ』など、海外ドラマや映画の吹き替えも務めてきた熊倉氏は、10月12日に直腸がんのため死去。『ゲゲゲの鬼太郎』の主題歌を歌っていたのも熊倉氏で、声を聞いたことがない人は恐らくいないだろう。神谷明も尊敬する、偉大な三枚目声優。享年88歳。

■舟崎克彦(作家、詩人、作詞家、挿絵画家)
 児童文学『ぽっぺん先生』シリーズ、『おかあさんといっしょ』の人形劇シナリオなど、300以上の作品をこの世に生み出してきた舟崎氏。咽頭がんのため、10月15日にこの世を後にした。胸躍る冒険ストーリーの数々は、子どもたちの想像力をかき立ててくれる傑作ばかり。享年70歳。

■まつもとひろし(コンピュータゲーム作曲家)
『ブランディッシュ』『英雄伝説』などのゲーム音楽を手掛けてきた作曲家・まつもと氏は、10月20日、癌のため死去。闘病に入る直前まで音楽を作り続けており、耳で聞く絵本というコンセプトのもと作られた『もみの木と私』が遺作となった。享年46歳。

■宮田紘次(マンガ家)
『犬神姫(わんこ)にくちづけ』『ききみみ図鑑』など、一風変わった設定のマンガを淡々と描くことで定評があった宮田氏。高血圧性脳出血により、10月22日に亡くなった。「コミックビーム」で見られた斬新でブッ飛んだマンガが読めないと思うと胸が苦しい。享年34歳。

■生頼範義(イラストレーター)
『ゴジラ』や『スター・ウォーズ』など、世界的に人気のあるポスターイラストをリアルに忠実に描いていた生瀬氏は、10月27日に肺炎のため死去した。『スター・ウォーズ』最新作公開で盛り上がる世界を、天国で見ながら、絵を描きたくてウズウズしているかもしれない。なお1月17日まで、渋谷パルコで回顧展が行われている。享年79歳。

■堀長文(演出家・プロデューサー)
 堀氏は、昭和の名監督・深作欣二氏に弟子入りし、独立後は『仮面ライダーBLACK』『科学戦隊』など、多くの戦隊モノのプロデューサー・演出を担当。尾上克郎や小林靖子など、特撮モノで活躍する監督・脚本家たちに大きな影響を与えてきたが、11月7日に人生に別れを告げた。享年79歳。

■毛利甚八(著作家、劇画原作者、写真家)
 家庭裁判所判事を主人公にしたマンガ『家栽の人』などを手掛けてきた毛利氏は、11月21日、食道がんで逝去。マンガを描くに当たって少年院や少年事件について探求すると共に、非行少年更生の支援などの活動も行っていた。享年57歳。

■水木しげる(マンガ家)
『ゲゲゲの鬼太郎』は、60年以上経った今でも、誰もが知っている国民的作品。そんなユニークな妖怪たちを生み出してきた水木氏も、11月30日、長い歴史に終止符をうった。おそらく誰よりも長く、妖怪と共に歩いてきた水木氏。きっと妖怪も、感謝の気持ちで同氏の最期を見届けたことだろう。享年93歳。

■櫻井孝昌(ポップカルチャー研究家)
 日本のアニメ文化や“カワイイ”文化など、世界にジャパンポップカルチャーを発信し続けてきた櫻井氏。12月4日、事故により死去した。アニメやカワイイもの好きの若者のよき理解者が、また1人いなくなってしまった。享年39歳。

■宮下新平(アニメーション監督)
『ちびまる子ちゃん』『ドラえもん』『ハンター×ハンター』など、多くの人気アニメの絵コンテや演出を担当していた宮下氏が、12月13日に逝去。来年1月16日には監督を務めた映画『シンドバッド 魔法のランプと動く島』が公開も控えている。最期の作品を、しっかり目に焼き付けて宮下氏を偲ぼう。享年47歳。

 幸いなことに、故人が世に残した作品の多くは手に、目に、耳にすることができる。悲しみに暮れる時間を、ひとつでも作品にあてる時間にしたい。

 心より、ご冥福をお祈りします。

※記事公開時、一部に誤りがございました。訂正してお詫び申し上げます。

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『鬼太郎』に出会えたことが幸福

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