『H×H』冨樫義博も太鼓判!? 失敗続きの『テラフォーマーズ』小説版を担当する平山夢明の世界とは

1512_terraformars.jpgJUMP j BOOKS編集部のTwitter(@JUMP_j_BOOKS)より。

 4月にはTVアニメの続編放送&伊藤英明主演の実写映画公開が決まっている『テラフォーマーズ』(集英社)だが、現時点ではどちらもファンの反応は微妙だ。公開された実写映画の特報も評価が低く、やはりマンガはマンガとして楽しむべきと考える人は多いのかもしれない。では、小説化はどうだろうか。

 来月19日に発売される「ミラクルジャンプ」(集英社)2月号より、『テラフォーマーズ』の小説『LOST MISSION II 悲母への帰還』の連載開始が決定した。小説版の著者は平山夢明氏(以下、夢明)。一部の小説ファンからは「最恐コラボ!!」との声が上がっているが、知らない人もいるかと思われるので、夢明に魅せられた筆者が、『LOST MISSION II 悲母への帰還』をどのくらい期待していいのか、駄文で伝えてみたい。なお、ここで読むのをやめられてしまうと堪らないので、先に興味を示すことを申し上げておこう。冨樫義博氏も、夢明を推すひとりだ。

 コンビニの店長、映画ライター(デルモンテ平山名義)を経て、1994年にノンフィクション『異常快楽殺人』(KADOKAWA)で作家デビューを果たした夢明。同作は、『羊たちの沈黙』(新潮社)に登場する女性の皮を剥ぐ猟奇殺人鬼、バッファロー・ビルのモデルにもなったエドワード・ゲインや、スティーヴン・キング作『IT』(文藝春秋)の殺人ピエロのモデル、ジョン・ゲイシーなど、世界中の殺人鬼を独特な視点で描き、1発目の作品でありながら、ビッグバンインパクトを放った。筆者的に最も痺れたのは、ヘンリー・リー・ルーカス(レクター博士のモデル)が関わった組織「死の腕」のリーダーの名が“腕”という点……う~ん、センスの塊だ。

『異常快楽殺人』で殺人鬼のノンフィクションに挑んだかと思えば、続く『SINKER 沈むもの』(徳間書店)では、実際に警部が殺人鬼を追う物語を描いてみせた。

 こちらは簡単に言うと、“和製『羊たちの沈黙』”。レクターのポジションに元児童心理学者にして連続殺人犯・プゾー、クラリスのポジションに緊張性失禁の孫(義理)を持つ警部・キタガミ、バッファロー・ビルのポジションに全身毛むくじゃらの太った女・ジグ(ジグソーパズル)を配置するなど、設定は完全に『羊たちの沈黙』なのだが、それを感じさせないのが、文章力と主人公・ビトーの存在。ビトーという男は、人の中に入ることができる力<沈む>を持つのだが、<沈む>としばらく疲労するなどのリスクを伴うため、必要以上に能力を使いたがらない。それにより、事件解決がうまいこと進まず、読み手をやきもきさせる。だが、それがいい。大事な場面で「ビトーは風邪を引いていた」には、不覚にも「なんでだよ!」と笑ってしまった。ちなみに、『SINKER 沈むもの』は再販や文庫化がされておらず、高額で取り引きされている。

暗くて静かでロックな娘 (集英社文庫)

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