まだ引きずるのか斑目ハーレム 男同士だからって、もう付き合ってもいいじゃねーか! 木尾士目『げんしけん』第19巻

1512_genshiken.jpg『げんしけん 二代目の十(19) 』 (木尾士目/講談社)

 まだ引っ張るのかーーッ! コミックス派の怨嗟の声が聞こえてくる、木尾士目『げんしけん』第19巻(講談社)。気がつけば、アニメ『げんしけん二代目』の放送からすでに2年が経った。それでもなお決着がつかないのか、斑目ハーレムは。

 前巻で吉武が斑目に卒業旅行が終わるまでに一人を選べと提案。このストレートすぎる提案に、いよいよ斑目も覚悟を決める時が来たのかと思っていた。

 ここまで、長かったなあ……と思ってページをめくった19巻。いよいよ、斑目が女装していない波戸くんを、事故とはいえ、ベッドに押し倒した~ッ!

 常々、日本はフィクションを通じてジェンダーの越境が浸透している国だと思っている。世界でも希な事例だと思うんだけど「男の娘」など、既成の概念の壁を崩壊させる概念が、フィクションを通じて確実に現実に浸透している。現実社会でもそうなんだから、斑目と波戸くんが付き合っても、みんな収まるところに収まったなあと思うだろう。

 でもねえ、肝心の波戸くんがそうじゃなかったとは!

 前巻からの引きで、酔いつぶれた朽木をホテルへ運んだ斑目と波戸くん。そのまま、二人で飲むことになるが、なんだか微妙な雰囲気。ようやく話を切り出した斑目は、最近どうして部屋に来なかったのか問い質す。それに対して波戸くんは、バレンタインデーにチョコをあげたら斑目がすごく赤くなったことを挙げて「あとはもうBL的な展開になるしかないじゃないですか!!」というのだ。

 あ~、波戸くんのほうがすでに、好きだし迫られたら仕方ないなあと欲望決壊寸前のところにいたのだということが、改めて確認できた瞬間だ。でも、斑目はといえば、改めて「チョメチョメ?」という妙な言葉で確認した上で「急すぎね?」と驚くばかり。なんなんだよコイツは……。

 思えば、この作品中、斑目はヘタれで咲にも告白できずに悶々と大学生活を終え、テキトーに就職した会社も辞めちゃって。そんな、人としては欠点だらけの斑目に、我々は感情移入してきたハズである。

 でもねえ、斑目は読者が自身を投影するキャラから、イラつくキャラへと変化しているのではないだろうか。ここまで、自分のボロアパートまで足繁く通ってくれる女装子に、いろんな感情が渦巻いていたのは事実。この状況で欲望を迸らせることもなく、なあなあな会話をするなんて、性的に不能か、感情が希薄かどちらかなんじゃないのか。

 挙げ句に波戸くんに「僕以外から選んで下さい」「その方が先輩にとって絶対いいはずです」と、遠回しな告白にも、酒をイッキ飲みして「俺はまたフラれたって事だな」と自分で納得するだけ。どれだけ、恋愛という行為に対してヘタれなんだろうか。

 そして、事故で押し倒すけど何もできないというハプニングを経て、翌日は吉武の提案でくじ引きで相手を交代しながらのデート形式で日光東照宮を散策。ここで、飛ばすのが笹原妹。「アンジェラ=遠距離すぎ」「スー=コミュ障過す」「波戸くん=男」と問題点を挙げて「現実的なの私しかいねーじゃん」とストレート過ぎる告白? おまけに「キャバの稼ぎで食わしてやんよ」とまでいうのだ。

 この娘、確実にウマが合えば付き合った相手を育てるタイプだろう。でもね、育て方はスパルタ。告白? の上で厳しいセリフも吐きます。

「卒業したのに何でお前ここにいんの?」
「もちっと大人になれよな。経済的にも精神的にもよ!」

 それでも即答しない斑目。いやもう、ほんとコイツどうにかしないと……。

 ここに来て、まだまだ終わりそうもない斑目ハーレム冬の陣。ここまで優柔不断な男は、一生童貞なんだろうなと思うのは、筆者だけではないよね?
(文=ピーラー・ホラ)

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