「無価値な情報」を、いかに後世に残すか? ファミコンの攻略本1000冊が大集合の「ファミコン攻略本ミュージアム1000」編著者・松原圭吾インタビュー

■変わりゆく書籍流通の中で、サブカル書はどう売るべきか
──「ファミコン攻略本ミュージアム1000」読者の反響はいかがですか?
松原 批判的な感想を目にしないんですよね。「もっと大きな写真で見たかった」とか「もっと多くの文章を読みたかった」というような意見は見るんですが、そういう意見は本の内容に賛同してくれたというか、本自体が本当に良かったからこそ言ってくれる意見だと思っています。まあ「中身を見たい」という意見に対しては確かにそうだと思うんですが、中身を見せるとなると、当時のメーカーや出版社の確認をすべてとる必要があるので、それはちょっと現実的ではない。今できる限りのことをやったというところです。

──実際に売れ行きも好調で、すぐに重版がかかったそうですね。
松原 本当にありがたいと思います。ただ厳密な数字は言えないのですが、ネットで売れたのが7割程度、で書店で売れたのが3割くらいだそうです。さらに言うと、書店に並んだのはほとんど首都圏で、地方はほとんどいきわたってないんじゃないかと思います。

──地方の人はネットで情報を得て、なおかつ通販で買わざるを得なかったと。ファミコンは今の30~40代を中心に数多くの人が触れたエンターテインメントなので、その攻略本にも何かしらのノスタルジーを憶える人は多いはずですよね。そういった人たちにきちんと届いていれば、もっと読者層が広がっていた可能性があります。
松原 そうですね。リアル書店に1冊ずつでもおいてもらえれば、それだけで数千冊は売れ行きが変わっていた可能性もあります。もしくはコンビニ流通という特殊な流通もあって、コンビニに置かれるだけで2万部は多く刷れるということがあるわけです。たとえ一瞬だとしても2万部が日本中の人々の目につくところに置かれるというのがいいですよね。
 あと、これは本を買ってくれた人に聞いた話なんですが、書店に取り寄せをお願いすると3週間かかると言われたそうです。それで諦めてamazonで買ったという人がいたそうです。書店にこの本が欲しいと言っても3週間かかる。しかも入るかどうかわからないとなると、私も諦めてamazonで買いますよ。指名買いだとamazonの方がいいです。

 では書店の存在価値って何だろう、と考えると、色々な本が並んでてたまたま目に入って興味を持った本を買うという「出会い」なんですが、今は書店がどんどん潰れていっている。これは怖いなと思いますね。
可能ならば私の本も書店に置いてほしかったです。書店に置かれていると、それまで知らなかった人も何となく中を見て買ってくれる可能性があるじゃないですか。でもamazonだとその可能性すらもないんです。本を開いてみる ということがまずなくて、自分の本が上位に表示される確率もすごく低いわけです。amazonだと自分で検索して買う、以外の手段がないんですよね。
 とはいえ内容にはとっても自信がありますし、今更ファミコンの攻略本を扱っている本だから、いつ買っても大丈夫な本になっています。ロングセラーになればいいなと思います。

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