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商業ではできない試みも……プロ小説家が“作家志望サイト”「小説家になろう」に続々投稿するワケとは?

2015.12.16

 プロとしてギャラを受け取っている作家が、なぜわざわざプロ作家志望のアマチュアが集う「小説家になろう」へ作品を掲載するのか。各作家の「小説家になろう」コメント欄やTwitterなどの発言を拾ってみると、「実験的作品の発表の場として“なろう”を選択した」「編集部に企画が通りそうにない、書きたいジャンルがある」「商業ではできない挑戦・試み」「読者やファンとやり取りしやすい、評価がすぐわかる」といったあたりを理由としてあげていることが多いようだ。

 掲載されている作品群を読んでみると、「小説家になろう」読者を意識した異世界ものがやはり目立つが、中にはこのご時勢、商業誌でやると物議をかもしそうなR15推奨のバイオレンス&残酷&エロの過激な作風に挑戦していたり、既存のライトノベルレーベルどころか、「小説家になろう」でも好評を獲得するのに苦労しそうなニッチなジャンルの作品に挑戦していたりとチャレンジフルな作品もある。もちろんプロ作家だけあって、文章力や構成力は「小説家になろう」では飛びぬけており、読み応えも充分だ。

 出版不況の折、ライトノベルレーベルが乱立するだけに、実績ある作家でもなかなか冒険に出ることがためらわれる状況であることは難くないが、その中でプロ作家が新しいことに挑戦できる場があるのは、読者やファンにとっては喜ばしい状況なのかもしれない。

 プロ作家による「小説家になろう」掲載作品の商業化というケースも出てきているし、出版社と「小説家になろう」の共同での新人賞が開催されたりもしている。中には、ペンネームを変えていたり、短編を載せたきりで以後の更新が滞ってしまっている作家もいるが、それでも今後どんな作家がどんな作品を発表していくのか、楽しみにしていきたい。

 それにしても、本格的に「小説家になろう」に参戦しているプロ作家たちの更新ペースは速い。クオリティーを保ったまま、えらい量を生産している。プロの作家ってすごいんだなぁ、とペラ○○円とかで原稿を書いている、しがないフリーライターは恐れ慄いたのでした。

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