【劇場アニメレビュー】少し詰め込みすぎ……?ヤマカンの愛を感じる『続・劇場版Wake Up,Girls!後篇〔Beyond the Bottom〕』

2015.12.15

『続・劇場版Wake Up,Girls!』公式サイトより。

 仙台を拠点に活動するアイドルユニットWake Up,Girls!(通称WUG!)の歩みを描いた同名アニメーション・シリーズは、映画『劇場版Wake Up,Girls! 七人のアイドル』(2014年1月)に始まり、1クールのTVシリーズ(同)、そして『続・劇場版Wake Up,Girls! 前篇〔青春の影〕』(15年9月)と続き、今回の『続・劇場版Wake Up,Girls! 後篇〔Beyond the Bottom〕』に至るわけだが、これまでの劇場版はすべて1時間弱の中編仕様であり、結論から先に記してしまうと、今回はその弊害がモロに出てしまった感がある。

 WUG!の面々がいよいよ仙台から上京してメジャー進出を図るも上手くいかず、再び仙台に戻って一からやり直す覚悟を決めるまでの前作『青春の影』は、その長さがちょうど程良く中編の枠に収まり、心地よい流れに乗って見ることができた。

 しかし、今回はアイドルの祭典で優勝を目指すという大きな命題があり、それだけでも2時間はほしいところなのに、そこに新曲を誰に書いてもらうかといった悩みや、夏休みに全国プロモ行脚する過程など、本来ならじっくり見せてほしい要素のものが矢継ぎ早に目まぐるしく通過していく。

 さらにはWUG!のセンター・島田真夢のライバルでもある、I-1Clubの岩崎志保がセンターをおろされて、博多の系列ユニットへ飛ばされるなど(どこかで聞いたことのある話ではあるが!?)といったスキャンダルも起きたりするし、しまいにはメンバーのひとり久海菜々美が宝塚ならぬ光塚への道とWUG!のどちらを選ぶかといった、映画にとってもWUG!ファンにとっても実に重大な事件が、全て1時間弱の中編枠に盛り込まれているのだから、気ぜわしいことこの上ない。

 いや、その伝でいえばヤマカンこと山本寛監督の演出は、限られた枠内を巧みに計算しながら、すべてを描出し得ているあたり、むしろお見事と讃えるべきなのだが、見終わってしばらくすると、やはりもっとあそこはじっくり見たかったとか、あそこはもう少し時間を割いても良かったのでは? といったないものねだりがどんどん出てきてしまう。

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