美濃加茂市は新たなPR効果を期待──オタクによる「フェミ」批判の醜さが目立った『のうりん』ポスター騒動の顛末

 この問題の論点のひとつに上がっているのが「行政が作成するポスターとしていかがなものか」という意見と「観光協会が行っているもので行政の事業ではない」というもの。

 これは行政の事業の一環という認識で間違いはないようだ。観光協会は美濃加茂市役所の産業振興課の中に設置されている。また、前述のポスターの作成経緯の中で担当者は「役所の中でデザインして印刷した」とも述べている。

 さらに話を聞いていくと、なぜ観光協会が担当し、問題になるキャラクターの画像が使用されたのかもわかってきた。「聖地巡礼」を用いた町おこしには、アニメに詳しい職員などが関与する事例も増えているが、美濃加茂市の場合、そのような人物はいなかった。そのきっかけになったのは、アニメの製作にあたって製作委員会側からロケハンへの協力を求められたことだ。それを契機として、作品の原作者を招いてのイベントなども開催されることになった。

「ただ、作品内容に性的な側面もあるので市として全面的に行うのは困難という判断もあり、観光協会が担うことになったんです」(前出の担当者)

 そして、今回のポスターで良田胡蝶が用いられたのは、単に選択肢がなかったからだという。

「ポスターなどに使用している画像は、最初に製作委員会から送られた二次使用可能な素材から選んでいます。去年から4回目のイベントになるので、選択肢も減っています。協力体制ができているので、使用料は無料です」(前同)

 これまでに「聖地巡礼」に訪れた観光客の数は観光協会が把握しているだけで3,000人あまり。少ない元手で人口5万4000人の自治体に3,000人もの観光客が訪れた(試しに「じゃらん」で美濃加茂市の宿を探してみたら、4軒。これまで、観光地としての魅力には欠けていた様子)のだから、より『のうりん』ファンにアピールしたイベントを開催する気になるのは必然だ。

「『のうりん』関連イベントは効果があるという認識です。今回の騒動でイベントを知った人も、ぜひ来てくれるとうれしいですね」(前同)

 この「のうりんスタンプラリー」は来年1月31日まで先着500名で開催。3つの店舗でスタンプを押してもらうと「特製ウッドバッチ(3種)」がもらえる。美濃加茂市では、観光客を対象に、預かり金のみの無料レンタサイクルも実施しているので、街をめぐりながらスタンプを集めることができる。

 またもやTwitterなどを用いて「セクハラ」だとか「フェミガー」という応酬を繰り返すことで、何かのルサンチマンを晴らした気分になっている人々の醜さを見せてくれた騒動。とりわけ「表現の自由」を主張しながら「フェミ」という言葉を使うオタクの側を自認する人々は哀れなことこの上ないと思った。

 この騒動がなにかの役に立った面があるとすれば、主催の側も上限500人程度しか想定していないイベントを広く知らしめる役割を果たしたことだろうか。『JR私鉄全線乗りつぶし地図帳』(JTBパブリッシング)で、高山本線が真っ白な筆者も、この機会に行ってみようという気になった。冬の青春18きっぷの販売はもう始まっているぞ。
(ルポライター/昼間たかし http://t-hiruma.jp/

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どっちの言い分もわかるけど、もともとオタ狙いなんだよな……この企画。

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