『ハッピーシュガーライフ』（鍵空とみやき）の狂気にハマれ！　ヤンデレ女子界に新星登場！　

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『ハッピーシュガーライフ』（鍵空とみやき/スクウェア・エニックス）

　突然だが、ヤンデレ女子はかわいい。特に“目の光”を失った姿は最高だ。彼女たちは愛する人のためなら、自分自身であれ、どんな犠牲もいとわない。

　例えば、ゲーム『School Days』の桂言葉、『未来日記』（角川書店）の我妻由乃、そして『ひぐらしのなく頃に』（講談社）の竜宮レナなどが有名だろう。そんなヤンデレ女子界に新星が現れた。「月刊ガンガンジョーカー」で連載中の『ハッピーシュガーライフ』（共にスクウェア・エニックス）の松坂さとうだ。

　本作はマンガ版『TARI TARI』（スクウェア・エニックス）の作画を担当した鍵空とみやきの新作なのだが、表紙のさとうの表情は、完全にヤンデレそのもの。その上、公式サイトのストーリー説明からもヤンデレ臭がぷんぷんと漂う。

松坂さとうには、好きな人がいます。 その人と触れ合うと、とても甘い気持ちになるのです。 きっとこれが「愛」なのね。彼女はそう思いました。 この想いを守るためなら、どんなことも許される。 騙しても犯しても奪っても殺してもいいと思うの。

　なんというラスト1行の怖さ。さとうは実際に、「愛」を守るためであれば何でもしてしまう。それがたとえ、誘拐であろうと、殺人であろうと。

　もともとは「愛」を知らず、男をとっかえひっかえしていたさとう。しかし、一緒にいるだけで自分の心の隙間を満たす“甘い欠片”をくれる、幼く純粋無垢な女の子「しおちゃん」を見つける。きらきらとした感情「愛」を知ったさとうは、おばさんと2人暮らししていた家にそのまま彼女を連れて帰る。もちろん、邪魔なおばさんは「片付け」てから。そして2人きりの甘い「ハッピーシュガーライフ」を守ろうと、男遊びをやめ、バイトを増やす生活を送り始めるのだ。

　しかし、そんな生活をジャマする者が、彼女の前には次々と現れるのだ。そのたびにさとうの心は「苦く」なり、その「苦さ」を取り除くために動く。例えば、「私より注目され、愛された」ことで敵意を燃やし、さとうに残業させて「しおちゃん」との時間を奪った上に、給料を減額しようとしたバイト先の女店長には、秘密をバラすと脅して本性を現したところを動画で撮影。さとうをストーカーし、さとうの愛する人＝「しおちゃん」を傷つけようとした学校の先生には、家族のいる家まで押しかけ、制服を脱ぎだすのだ。

　1巻のラスト、行方不明になっている「しおちゃん」を探すチラシを配る少年が、不良たちにぼこぼこに殴られた状態でバイト先に運ばれてくる。その少年を運んできたバイト仲間は、影で「しおちゃん」のチラシを見てはぁはぁしている。今後、この2人を巻き込んでどうなっていくのか、さとうの「ハッピーシュガーライフ」は守られるのか？　先の展開がとても気になる今作、2巻は12月22日発売予定。

　鍵空とみやきの描くキャラクターが可愛いからこそ、さとうのヤンデレ顔が引き立っており、ヤンデレ好きとしては、「もっともっと、さとうのヤンデレ顔を拝ませてほしい！」と思ってしまう。「月刊ガンガンジョーカー」の公式サイトで試し読みが出来るのだが、一番初めのカラーページの、血に濡れたさとうの姿が堪らない（単行本では白黒になってしまっているのが惜しいのだが……）。できれば、歴代のヤンデレ女子を上回るような、最高のヤンデレ顔で返り血を浴びている姿を拝ませてほしい！
（文＝森野たぬき）