「よくあんなとこ借りたな……」アニメイトが書泉ブックマート跡地をABCマートに貸した意図は?

1511_shosen.jpg「書泉ブックマート」公式サイトより。

 9月30日、惜しまれつつも閉店した老舗書店・書泉ブックマート。本の街・神保町のランドマークともいえる書店の閉店は、出版不況の象徴としても捉えられ新聞各紙でも報道された。

 その跡地の利用方法として、本サイトではアニメイトがオープンする可能性を報じた(記事参照)。隣接するパセラお茶の水店跡地と共にアニメイトグループの高橋豊会長が役員を務める企業が所有権を取得しているからだ。

 ところが、ここにきて跡地利用は予想の斜め上をいく展開になった。現在、内装工事が行われている建物では11月28日にシューズショップ・ABCマートの神保町店がオープンすることが掲示されているのである。

 ウワサとは違い、既に土地は転売されてしまったのか?

 そこで不動産登記を確認してみたところ、9月からまったく動きはなかった。書泉ブックマート跡地は2012年にアニメイトホールディングスの高橋豊氏が代表取締役を務める企業・株式会社AFが取得。パセラお茶の水店跡地も2015年までに同社が取得したままである。

 つまり、今回ABCマートは物件を賃貸しているというわけである。

 このことを知った書泉ブックマートの事情をよく知る業界関係者は、一様に同じ感想を述べた。

「よく、あんなところ借りたなあ……」

 書泉ブックマートの建物は、オープンした1967年に建設されたもの。すでに築50年の近いものだ。そのため、現行の建築基準法では既存不適格とされており、消防署の立ち入り検査でも問題を指摘されていたという。もちろん、現在行われている内装工事は、そうした問題点を解消する意味もあるだろう。だとしても、老朽化したビルを工事した上に店舗として賃貸する意味はなんなのか。

 業界事情に詳しい関係者は、次のように話す。

「取得はしてみたものの、跡地利用を考えあぐねているので、とりあえず賃貸したのではないでしょうか。ともすれば、周囲の土地を含めた一体開発を考えているのかも知れません」

 場合によっては、将来、アニメイトや多数の店舗が入居する複合ビルがオープンする可能性もあるのか?

 メディアの取材には応じないのがデフォルトのアニメイト。ゆえに周辺取材から得られる情報は錯綜している。

(取材・文=昼間 たかし http://t-hiruma.jp/

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