来年のOculus Rift発売に向けて“911”の被害者を疑似体験できるVRゲーム『08:46』が登場

■事実に忠実な“悲劇体験コンテンツ”

 WTCのツインタワーは両棟とも110階まであったが、1機目の旅客機は北タワーの北側の94~98階部分に衝突したといわれている。クラフト氏の解説によれば、物語の舞台となっているオフィスは北タワーの101階の南側ということだ。したがって旅客機の接近には気付かずに、勤務している階のすぐ真下に旅客機が激突したことになる。

 YouTubeチャンネル「DarkWolfLETSPLAY」ではこの『08:46』の実況プレイ動画が早くも投稿されており、視聴してみると旅客機激突後のゲームの流れがわかり興味深い。

 上司と共にひとまずオフィスを出ようとするプレイヤーだが、激突の衝撃で建物が歪んでしまったのか廊下に通じるドアが開かない。しかし外から「誰かいるのか!」と助けに来た人の声が聞こえ一縷の望みが生まれる。外から無理矢理ドアがこじ開けられ、付近の区画で唯一の生き残りだというこの男性に導かれて、廊下に出て3人で階下に繋がる階段へと足早に進んでいくのだ。もちろんエレベーターは止まっており、照明もすべて消えていて真昼間でも懐中電灯で辺りを照らしながら進まなければならない。Oculus Riftで見ればさぞかし心細く不穏な光景だろう。

 階段に辿り着いた3人だが階を隔てる防火扉のようなドアがやはり開かない。これでは埒があかないと判断した男性は2人にオフィスにいったん戻るようにと指示して救難を待つ方策に転換。3人でオフィスに戻り携帯電話で外部と連絡を取るものの具体的には何も期待できないことが次第にわかりはじめてきたところへ、隣の南タワーへ2機目の旅客機が激突するのを目撃。男性も上司もパニックに陥り事態は悲劇へと向けて一直線の展開に。

 ……と、これ以上書くとネタバレになりそうだが、クラフト氏は特に気にせず取材に応えおり、エンディングに関する言及も行なっている。いずれにしても悲劇は避けられないのだが、実際、事件当日に旅客機が激突した地点よりも上の階にいた生還者はほとんどいないといわれている。あまりの悲劇的な結末に「DarkWolfLETSPLAY」の実況プレイヤーは「悲痛のあまり心臓が飛び出しそうだ!」と嘆いている。むしろこれはゲームではなく“悲劇体験コンテンツ”とも呼べる種類の映像作品なのかも知れない。

「私たちは“911”に対して真摯なアプローチを行なっています。正確であることが第一で、犠牲者への尊重を外れて節度を欠いたり扇情的になることを厳に慎んできました」とクラフト氏は語る。この『08:46』は、来年から本格化するVRゲームが単純な娯楽作品のほかにも様々な可能性を秘めていることを示唆しているのかもしれない。
(文/仲田しんじ)

【参考】
・Tech Insider
http://www.techinsider.io/846-911-vr-game-developer-interview-2015-10

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