■ジェットマンは元スイス空軍の戦闘機パイロット
2007年に就航した史上最大の旅客機であるこのA380だが、その大型の機体ゆえか、安定して巡航できる高度は若干高めの約1万2000mといわれている。この撮影で航行した高度1200mというのはA380にとっては当然かなりの低空飛行であるため、エミレーツ航空の2人のパイロットにとっても腕の見せ所になるプロジェクトであった。
撮影ではまず、2人のジェットマンを乗せたヘリコプターがドバイ上空1700mまで上昇。そこからジェットマン2人が飛び降りつつ飛行体勢を整え、高度1200mでA380と合流し、“ランデブー飛行”を成し遂げたことになる。撮影は別の小型機から行なわれているが、ジェットマンのジェットエンジンの連続航続時間は10分ほどであるため、チャンスは数分しかないシビアな条件下での撮影であった。映象にはないが、飛行後のジェットマンはパラシュートを開いて地上に戻ってくる。
今回の偉業に挑んだイブ・ロッシー氏とヴィンス・レフェット氏は空の世界では有名なジェットマンである。ジェットマンの“翼”を開発したスイス人のイブ・ロッシー氏はまた有名な発明家でもあり、2004年にジュネーヴ上空でジェットマンとしてデビュー(!?)して以来、この“翼”で世界各地の空を飛び回っているという痛快な人物である。スイス空軍の戦闘機パイロットだった時期もあるということだ。
このジェットマンの“翼”には特に呼び名はないようだが、ケブラー樹脂製の幅約2.4mほどの折り畳み式の機体で、小型のジェットエンジンが4つ搭載されており、最高速度は時速300kmにもなるということだ。今回の挑戦の前にも、最近のジェットマンはもっぱらドバイの空を飛んでいるようで、セスナ機とのアクロバット飛行に挑戦したり、ドバイのランドマークである世界一の高層ビル、ブルジュ・ハリファの周囲を旋回飛行したりと絶好調だ。
今後も我々の夢を乗せて飛んでもらいたいものだが、いつか墜落事故を起してしまうんじゃないかとヒヤヒヤする思いも……。無事にジェットマンを“引退”する日が来ることも同時に影から祈りたい。
(文/仲田しんじ)
【参考】
・Gizmag
http://www.gizmag.com/jetman-dubai-airliner/40280/
CGじゃない! 巨大旅客機と共に生身の人間“ジェットマン”がドバイ上空でランデブー飛行!!のページです。おたぽるは、飛行機、その他、エミレーツ航空、ジェットマンの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
人気記事ランキング
人気連載