同人誌印刷会社だけで最大90億円減収の予測も……オリンピックによる「東京ビッグサイト使用停止問題」の最新動向

1511_big.jpg「東京ビッグサイト」公式サイトより。

 2020年東京オリンピック開催による東京ビッグサイトの使用停止期間をめぐる問題が、注目を集めている。

 発端となったの11月5日の同人誌印刷会社・緑陽社のTwitterでの発言だ。同社は「ビッグサイトがオリンピックによる使用停止期間を発表」として東館と東新展示場が19年4月~20年11月、西館と拡張棟が20年4~10月に使用停止となると記載。「ビッグサイトの意見公募に対し、当社は同人誌文化・日本のコンテンツ文化に重大な影響を及ぼすので、回避策を採って欲しい旨を述べました」と、続けた。

 2020年東京オリンピック中、東京ビッグサイトには国際放送センターとメインプレスセンターが設置される予定だ。招致成功後から、東京ビッグサイトがオリンピック施設として利用されることは、ほぼ確定とみられており「コミケはどうなるのか」など不安視する声が出ていた。

 これまでも「東京新聞」などが使用停止による各種産業への影響を記事にしていたが、同人誌印刷の老舗・緑陽社が発言したことで、改めて広く注目を集めることになった。

 コミックマーケットだけでも、現在の想定では、3回は東京ビッグサイトで開催できなくなる。これによる周辺産業への影響は極めて大きい。前述の緑陽社・武川優社長は、同人誌印刷業だけでも約2年間で25%~30%の売上ダウンがあるのではないかと予測している。

「仮に約2年間サークルの、のべ参加数が変わらなかったとしても、サークルが発行部数を15%~20%控えることはありえると思います。私の計算では、全国の同人誌印刷業の売上は年間150億円=約2年間で300億円。60億円~90億円の売上の減少がありえます。同人誌印刷所が複数潰れてもおかしくないと思います」(武川氏)

 さらに武川氏は東京ビッグサイトでコミックマーケットが開催できないとなれば、同人誌イベントや流通の形も大きく変化するのではないかとも話す。

「オールジャンルイベント離れが進行していることも確かです。私には、コミケ離れさえも起きているようにも見えます。とすると、この2年間はもしかしてオンリーが花開き、オンリー満開の活気が生まれるかもしれません。しかしながら、同人誌即売会は都産貿(東京都立産業貿易センター)以下の小さな会場でしか開催できない可能性が大きいのではないかとも考えられます。小さな会場にそのキャパがあるのかというと、私は厳密には解りませんが、無理なような気がします。ただ、同人誌書店が興隆するということはいえるでしょう。同時に、これが、その頃すでに進行しているだろう同人誌の電子書籍化の飛躍期になるのかもしれません」

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この先、コミケがどうなるのか……心配です

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