【実写映画レビュー】原作付き映画は映画ファン、原作ファン、どちらのもの? 改めて考えてしまう『俺物語!!』

 1作目が原作に目配せして窮屈な仕上がりとなり、2作目で原作から大きく離れて怪作になる――これは押井守の監督作『うる星やつら オンリー・ユー』(1983年)と『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(84年)そのものだ。『俺物語!!』と違ってこちらはアニメ作品だが、2作目が原作の呪縛から解き放たれた最も幸せなケースとして、エールを込めて例示しておきたい。

『〜ビューティフル・ドリーマー』が評論家の絶賛を浴び、押井の名を世に知らしめ、日本アニメ史に残るカルト的名作になったのは周知の通り。しかし押井自身の弁によると、同作が「原作者(高橋留美子)の逆鱗に触れた」のもまた事実だ。

 原作付き映画は原作ファンのために作るのか、映画的価値を新たに創出すべきなのか。ファンに望まれたから映画化するのか、映画化によってファンを増やしたいのか。はたまた『俺物語!!』よろしく、「原作付き映画の到達しうる最高の理想状態」とは一体なんなのか。……といった哲学的思索を上映中に催させることこそ、映画版『俺物語!!』最大の功績なのかもしれない、実のところ。
(文/稲田豊史)

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