『俺の姫靴を履いてくれ』(須河篤志) 生足よりも黒タイツが欲しいよ! 

 世間でもメジャーなフェティシズム・足フェチ。でも、この物語の主人公は単なるフェチを超えた筋金入りのド変態だ。ここまで、変態をこじらせていて物語は、いったいどんな形で丸く収まるのか……?

 この先の展開がとことん心配になってくる須河篤志『俺の姫靴を履いてくれ』第1巻(KADOKAWA/メディアファクトリー)は、靴職人の主人公を描く「お仕事マンガ」に、濃ゆい変態要素を加えた作品である。

 主人公・西村正助は、個人で店を営む靴職人である。その腕は超一流なのだが、メンズしかやっていないので、売上はイマイチである。

 何より、腕は一流なのに性欲は強くて変態なのだ。第1話の冒頭、お客さんが来る予定がないことを確認したら、仕事場の奥でエロ動画を見ながら1人で励むのである。そもそも、冒頭のカラーページが夢精シーンから始まるわけで、やり過ぎなくらい読者を驚かせてくれる。

 そんな強い性欲の持ち主である西村がもっとも興奮するのが、女性の足。女性の足を見ればすぐに勃起してしまうので、レディースを止めてしまったのである。でも、靴を作らないからといって、フェチが止むわけではない。

 微妙な付き合いの続いている元妻の香奈江の足にも、興奮は治まらない。出会い系サイトで出会った相手とホテルに行っても、足を舐めているだけで「犬か!」と罵られる始末……。「うわぁ」と、ちょっと引いてしまいそうな重度のフェチなのである。

 そんな彼の店に訪ねてきたのは、死んだ母の靴を直してほしいという女子高生・茜。直して自分が履きたいという西村だが、足の型が違うので無理だと説明する。

 ここで足先にはエジプト形・ギリシャ形・スクエア形があって……とか、ちょっと「お仕事マンガ」っぽい雰囲気に。でも、レディースはやっていないといっても、母と同じ店で靴を作ってほしいと懇願する茜に、西村は「オーダーメードは6万円はかかる」と説明して諦めさせようとしたところから、さらに急展開。茜はいきなり援助交際で稼ごうとしてしまうのだ(ちなみに、オーダーメードで6万円は結構安いです)。

 こうした経緯で、レディースのオーダーメイドを再開する西村。なんとか仕事はこなしても、やっぱり気を抜けば勃起してしまうというフェチの因果は続いていくのである。

 どんなイケメンであろうとも、好みの足を発見=勃起というフェチは、相当キモいはず。

 にもかかわらず、茜は「足が綺麗」と褒められることで赤面してしまう。高校生だから仕方がないとはいえ、変態の情念というものをイマイチ理解していないのである。でも、理解していないからこそ、物語はラブコメ方向へと進んでいくのだ。う~ん、変態も突き詰めたら女子高生とラブラブしたりできるのか? けしからん! けしからん上に羨ましい!

 そんな作品であるが、筆者が興奮したのは茜が足が焼けないように普段は黒タイツを愛用しているという設定。いやいや、生足よりも黒タイツのほうが欲しいよ、俺は!
(文=ピーラー・ホラ)

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