「来年3月の報告書提出までノーコメント」……国連“女子生徒の13%が援助交際”問題で、国連人権高等弁務官事務所が回答

1511_JK2.jpg「国連人権高等弁務官事務所」サイトより。

 さまざまな波紋を呼んでいる国連の「子どもの売買、児童売春、児童ポルノ」に関する特別報告者であるマオド・ド・ブーア=ブキッキオ氏による「日本の女子生徒の13%が援助交際に関わっている」発言。

 11月2日に国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)サイト上に公開された文書において、ブーア=ブキッキオ氏は「13%」という数値の根拠について、問題の焦点を明らかにするために、複数の公表されている数値(open sources)を使ったことを述べた。

 現在、文書は日本語に訳され、サイトからのダウンロードが可能になっている。この公式の翻訳によれば、該当部分は「記者会見では、緊急な取り組みが必要なこの現象を強調するために、公になっている推定値に触れました」としている。

 この文書で、ブーア=ブキッキオ氏は訪日中に日本の「JKビジネス」に関する公式な統計を得ることができなかったことにも触れている。その一方で「公になっている推定値」が、存在することは本人も認めているわけだ。

 それは、どういった資料によるものなのか。

 OHCHRに問い合わせたところ。担当者のネケーン・ラビン氏は次のように答えた。

「ノート(註:11月2日公開の文書)の公開後に、特別報告者がこの問題に関するさらなるコメントをすることはありません。詳細に関しては、すべて2016年3月の国連人権理事会に提出される報告書で取り扱います」

 これまでも指摘されているように、特別報告者は実際に人権が抑圧される事態に直面している人を守るという目的のため、情報源を秘匿するのが通例。「公になっている推定値」といえども回答しない理由は、それによってなんらかの被害を受ける人が出る可能性も否定できないからと推測できる。

 実際、現段階で「公になっている推定値」を明らかにしないことでも批判は受けるが、公表した場合に、今度は「公になっている推定値」を記した人物や団体が非難を浴びることも容易に想像できるだろう。批判ではなく、非難……罵詈雑言である。

 11月4日に、ニコニコ動画などで放送された山田太郎参議院議員の番組『みんなのさんちゃんねる』で、自身もブーア=ブキッキオ氏に面会した山田議員は、多くの時間を割いてこの問題を扱った。

 この放送の間に流れていた視聴者のコメントの多くが、ブーア=ブキッキオ氏に対する中傷めいたものだったことを考えると、現段階で「公になっている推定値」を公表したらどうなるか……やっぱり醜悪な状況しか思い浮かばない。

 筆者は先頃発売になったルポルタージュ『コミックばかり読まないで』
(イースト・プレス)の中で「アグネスを叩くほどのバカにはならず」という一節を記した。日本ユニセフ協会の親善大使であるアグネス・チャン氏は「児童ポルノ」の問題をめぐり、長らく「表現規制派の広告塔」のごとく批判や中傷に晒されている。では、なぜ彼女が、日本ユニセフ協会の親善大使として「児童ポルノの撲滅」を訴え続けているのか。それは彼女に取材し、言葉を交わすことで初めて理解できた。

 いや、理解ではなく片鱗に触れることができた……と、思っている。

 個々人の主張や思想、発言は、なべて人生に裏打ちされたものである。そのことに気づけば、発言の欠片を切り取って揚げ足取りのように攻撃することはできないはずだ。

 だから筆者も、しばしば後で読み返して反省するしかない愚かな記事を書いてしまうこともあるが、取材によって記事に血を通わせようと試みている。ならばこそ、モニタに表示される字面を追って得た半可通な情報だけの中傷は、ちゃんと批判しなければならないと思う。

 ブーア=ブキッキオ氏の発言をめぐる問題は、改めて「表現の自由」という旗を掲げて、独善的な気持ちのよい自分の世界を守りたいだけの人間の醜さを浮き彫りにした。それも含めて人間の仕業だと気づかなければ、これ以上誰も「表現の自由を守ろう」なんていえない。
(取材・文=昼間たかし

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