21世紀にはドラえもんではなく人間に奉仕する性的ペットが誕生!? 44年前に書かれた“トンデモ”な未来のS●X予想本

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　さて、その藤竜太郎先生が「科学的、医学的に裏づけながら」予測した21世紀のセックスとはどんなものか、見ていきましょう。

　まず、本書によれば、完全なるフリーセックス時代が到来しております。一夫一婦を守る考えは前世紀の遺物視されているどころか、

「セックスはあたかも20世紀の人類が、路傍で見知らぬ人に『すいませんが、ちょっとタバコの火を』と貸してもらうのと同じようになったのだ。『いいですよ、私のでよければ……』　公園のベンチの上、芝生の上、あるいは木のかげなどでも、またホテルのロビイや家庭の応接室ですら、なんの気がねもなく、彼らはその可能性を追求し続けることができるのである」

という状況になっているとか。やりたくなったら、誰でもどこでもセックスできちゃうというのです。

　とは言っても、ルックスが悪い男女は、そんな恩恵にあずかれないのでは……と思うかもしれませんが、整形が一般化しているので、誰もが美男美女。もちろん肉体の改造も盛んで、男性はペニスに彫刻を施したり（その美しさを競うコンクールも行われている）、クンニ用に舌先に植毛を行ったりします。さらに、女性も性器を名器に改造。なにしろ、出産も人工授精・試験官培養なので、どんなに締まりをよくしても大丈夫なのです。21世紀におけるセックスとは、繁殖とは完全に切り離されて純粋な快楽のための行為となっているのです。

　そもそも羞恥心なんてものもなくなっていますから、女性も積極的に快感を追求し、セックスは騎乗位が主体となっています。そして長時間のセックスを楽しむために、補助器具が多く用いられています。

「天井から吊られた落下傘のひものようなものを、女性は腰部に固定する。これをつけて男性の上に姿勢をとり、ボタンを押すと、吊ってある紐が女性の体をわずかに引き上げる。引き上げるとすぐスイッチが切れるから、女性はただちに元に復す。（中略）これを使用すると女性は長時間にわたる上下運動を楽に、体力の消もうを少なくして行うことができる。（中略）このばあい、男性は仰臥したままの態位であるから、男性も楽だ」

　腰を振るのも機械任せ。もうこうなるとなんのためにセックスしているのか、よくわからなくなってきます。

　もちろん性器具や性交人形（ロボッチーヌ）も開発が進んでいますし、人間に奉仕する性的ペット（挿入できるウロコのない蛇とか、手コキしてくれる猿とか……）も作り出されています。

　さらには、脳を電波で刺激すると、セックスの快感を得られるという「セックス・ナンバーワン」という機械も開発中。

「文明はついに性器を否定し、やがては人間そのものを否定し去るのではないだろうか」

　……どう考えても、グロテスクなデストピアとしか思えない世界で、こんな21世紀が到来しなくてよかったなぁ、と思うのですが、著者の藤竜太郎先生は「チクショウ！　早くそういう時代がこないかなぁ」「20世紀に生まれた不幸を痛感するワケ！」と、本気で羨ましがっているのです。

安田理央（やすだ・りお）

1967年、埼玉県生まれ。主にフリーライター。及びアダルトメディア研究家、ニューウェーブ歌手、など。主な著書に「日本縦断 フーゾクの旅」 （2004年 二見書房）「エロの敵　今、アダルトメディアに起こりつつあること」（2006年　翔泳社　雨宮まみと共著 ）、「45歳からのアニメ入門」（2013年　Kindle　田口こくまろと共著）などがある。
●公式サイト＜http://www.lares.dti.ne.jp/~rio/＞
●公式ブログ＜http://rioysd.hateblo.jp/＞

 
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