美形俳優ほど古い映画館に愛される? 本郷奏多主演作『シネマの天使』のサプライズなラストシーンに感涙!!

 本作を撮ったのは広島市在住の時川英之監督。閉館が決まった「シネフク大黒座」の従業員から「シネフク大黒座を映像で残したい」と頼まれ、従業員たちの思い出や観客から寄せられた感想文を参考にして脚本を書き上げた。映画製作が決まったのは、閉館の前月というギリギリのタイミング。取り壊し作業が始まるまでの半月という限られたスケジュールの中での撮影だった。大黒座のロビーの壁一面にびっしりと書かれた手描きのメッセージは、実際に観客たちが綴ったもの。大黒座が取り壊されるシーンも劇中に取り込まれている。多くの人たちに夢を見せてきた古い劇場が、乗り込んできたブルドーザーによって蹂躙される映像には胸を締め付けられる。

 ミニシアターの聖地だった渋谷シネマライズが11月27日(金)で閉館することが決まったように、非シネコン系の映画館が次々と消えつつある。映画の鑑賞スタイルの変化、建物の耐震性の問題、アナログからデジタル化への対応の遅れなど閉館の理由はさまざまだが、そんな時代の流れに呼応するように在りし日の映画館の様子を記録した劇映画も生まれている。2013年に閉館した「銀座シネパトス」は染谷将太主演の『インターミッション』(13)にその姿を残している。2014年に閉館した「新宿ミラノ座」は、園子温監督の『新宿スワン』(15)で綾野剛らスカウトマンが集合するシーンにカマボコ型の屋上がロケに使われ、山田孝之が佇む外階段もミラノ座が入っていた新宿東急ミラノビルのものだ。映画は物語を語るだけでなく、映画が撮影された時代の空気も映像の中に取り組む。今はもうない景観の中で染谷将太、綾野剛&山田孝之とこれからの映画界を担う若手スターたちが躍動しているのも興味深い。『シネマの天使』もまた、本郷奏多、藤原令子ら若い俳優たちの成長を古い映画館が見守るものとなっている。

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 アキラが創作の森の中に迷い込んだように、明日香も映画館の中に潜む迷宮に足を踏み入れる。それまでの明日香は「映画はどこで観ても内容は同じだし、どうせ観るなら新しいシネコンで観たほうが快適でしょ」と考えていたが、迷宮然とした古い映画館で働き、スタッフや常連客と接するうちに次第に考えを改めていくことになる。映画館はただ映画を上映するだけの場所ではなく、映画を媒介に一期一会で劇場に集まった人々が夢を共有し合い、思い出を積み重ねていく空間なのだということを実感する。その頃、アキラもまた本当に自分が撮りたいものは何であるかに思い当たる。アキラと明日香に新しい夢を託すことで、大黒座はその役割をまっとうしようとしていた。

シネマの天使 メインテーマ

シネマの天使 メインテーマ

映画を観たら、曲に浸ってください。

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