7,000円あれば裁判はできる!報酬未払いにライターが挑む【最終回・裁判編】

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 ライターの私は、原稿料の未払い問題にぶつかっている。「完成原稿をもらったわけではないので、交通費と必要経費しか出せない」という先方に対し「途中までの作業料(原稿料)は欲しい」という私の主張が、ひたすら平行線をたどっているという構図だ。初回(http://otapol.jp/2015/10/post-4111.html)は法律相談に行く前までの心構え、2回目(http://otapol.jp/2015/10/post-4148.html)は法テラスについて、3回目は自治体の司法書士無料相談に行き(http://otapol.jp/2015/10/post-4169.html)、4回目は弁護士の先生に対策を伺った(http://otapol.jp/2015/10/post-4335.html)。

 幸い私のケースでは話し合いで原稿料を出してもらうことで収まったものの、最終回となる今回は、もし裁判(少額訴訟)になった場合どうすればいいのか、費用はどのくらいかかるのか、実際に裁判所に行って聞いてきたので紹介したい。

■会社を訴える場合は、法務局で「商業登記簿謄本」を入手する必要あり

 訴訟を起こす場合、被告側(訴えられる側)が所在する地区の簡易裁判所で申し込みを行う必要がある。なお、簡易裁判所は全国に438カ所ある。裁判所に入ると、入り口横にはその日の裁判一覧が、民事、刑事事件別で並んでおり、原告と被告のフルネームが出ている。当然、裁判所内は撮影禁止だ。平日の午前中ながら、一覧を眺めている人もちらほらいる。関係者か、傍聴マニアなのか。

「少額訴訟をしたいのですが」と窓口で問い合わせてみたところ、丁寧に教えてもらえた。必要となる訴状は3枚の写しになっており、それぞれが原告、被告、裁判所に行く。訴状は全2枚で、1枚目の「原告(申立人)」「被告(相手方1、2)」は住所、氏名などの記入で簡単そうに見えるが、一点注意したいのが被告(訴えられる側)の住所だ。

 報酬未払いの場合、訴える相手は会社になるケースがほとんどだろう。その場合、会社の商業登記簿謄本、もしくは登記事項証明書が別途必要になり、訴状に記載する住所は登記簿謄本上の住所になる(ホームページなどに掲載された会社の住所と登記簿謄本の住所は異なることもある)。登記簿謄本はその会社の所在地を管轄する法務局に行けば1通600円で手に入る。ただし法務局は1都道府県に1つしかないところも多い。法務局と簡易裁判所が近ければいいが、遠いとそれだけでグッタリしそうだ。

 2枚目は「請求の趣旨」「紛争の要点(請求の原因)」「添付書類」から成る。「請求の趣旨」は「金 ○○○○円」の空欄に請求したい原稿料を入れる。この欄の最終行に「□及び仮執行の宣言」とあるが、これは判決が確定する前に判決の内容に基づいて強制執行をしたい場合は、□にレ点チェックを入れる。いわゆる差し押さえだ。

 難しげな「紛争の要点(請求の原因)」だが、簡易裁判所であわせてもらったプリント「簡易裁判所に『金銭の支払を求める訴え(一般)』を起こしたい方のために」に例があったので掲載したい。

「平成14年12月20日、原告宅隣のビルで看板取り外し作業を行っていた被告2の従業員である被告1は、誤って取り外した看板を下に落とし、落ちた看板は、原告の庭の盆栽5鉢に当たってだいなしにした。この盆栽は、原告が全部で8万円で買ったもので原告が大切にしていたものである。原告は、被告らに対して何度も弁償するように言ったが、被告らに誠意がなく、いっこうに支払おうとしない」

 こんなんでいいのか、と拍子抜けした。盆栽に看板が直撃した原告の怒りは伝わってくるが、「だいなしにした」や「大切にしていたものである」といった、感情が入る言葉は入れてはいけないものかと思っていた。いわゆる5W1Hを押さえていればよいようで、この程度ならいけると余裕をかましていたら、裁判所の人に「今回の案件は請負ですか、委任ですか?(請負は完成しないと1円も報酬をもらえない仕事、委任は完成を問わず仕事を行ったことに報酬が支払われる仕事)」と聞かれ、言葉に詰まる。前回(http://otapol.jp/2015/10/post-4335.html)同様、フリーランスの報酬未払いにおいて、裁判所が目を向けるポイントは「請負か委任か」なのだ。

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