『マインクラフト』が就職窓口に!? サイバー空間でIT技術者を発掘・養成・リクルートするIT先進国イギリス

1510_,mine.jpg「Cyber Security Challenge」より。

 IT教育先進国、イギリスでは政府の後援により、人気のモノ作りゲーム『マインクラフト』の世界の中でゲームイベントなどの会場にもなるコンベンションセンターの運営をはじめるという。いったいどういうことなのか……。

■『マインクラフト』の世界でITプロフェッショナルの仕事ぶりが目の当たりに

 9月25日、イギリス政府の後援を受けて、国家ぐるみでサイバーセキュリティーの向上を推進する活動である「Cyber Security Challenge」が発足した。イギリスの国家を挙げたIT教育の一環で、この活動は不足するサイバーセキュリティーのプロフェッショナルの発掘・養成を目指すものだ。そしてこの活動の重要な舞台となるのが、世界的人気のモノ作りゲーム『マインクラフト』のサイバー空間なのだ。

 同組織は『マインクラフト』のゲームの世界に「Cyphinx」と名づけたビルディングを建設。ここがゲームをはじめとする競技会や暗号解読などにチャレンジする会場となり、将来のIT業界でのキャリア形成を求める人々にとってのコミュニティにもなる。

「サイバーセキュリティ関連のプロフェッショナルの慢性的な人材不足の中にあって、まだ生かされていない才能は大いなる人的資源です。今回の活動は、多くの若い人々にサイバーセキュリティを将来の仕事の候補として考えさせるきっかけ作りになります」と、Cyber Security Challenge代表のステファニー・ダマン氏は声明の中で述べている。

 このサイバー空間内のタワービルディングはコミュニティの中心として機能し、ITスペシャリストが日々直面している問題とその取り組みを目に触れさせることで、訪れた若年層へ将来の職業としてIT技術者を意識させることを目論んでいる。まずは『マインクラフト』が好きな若者たちにIT技術者、特にサイバーセキュリティのスペシャリストに興味を持ってもらおうということだ。

■『マインクラフト』が企業のリクルート活動の場に

 興味を持ってもらうだけでなく、Cyphinxの各階では様々な挑戦が来場者を待っている。ゲーム大会はもちろん、犯罪科学捜査やネットワーク保守管理、倫理とリスク分析など、実際のITスペシャリストの仕事の一端を体験できる課題が用意されているのだ。

 建物に入る際にユーザーは分身となるアバターを作って登録し、その後建物内の好きなところへ行き、ゲームや課題に挑戦するのだ。ちなみにこのCyphinxはゲームエンジンのUnityを使って作られており、各階のゲームや参加者とリンクしている。したがって課題に挑戦している最中に、参加者は経験豊富なプロフェッショナルたちから指示やヒントを受け取ることができ、協力体制のもとで取り組むことも可能だ。

「Cyphinxはコンピュータ・セキュリティ業界の効果的な紹介人役にもなりますね。業界はじまって以来の志望者の減少に直面していますが、それというのもサイバーセキュリティーという仕事に関する一般の理解が欠けているからです。このCyphinxは若者に我々の業界に対する興味を持たせることができ、我々が千変万化に発展してきたIT技術の重要な担い手であることを示すことができるのです」と、ITセキュリティ会社「Clearswift」のガイ・バンカー博士は語っている。

 将来的にこのCyphinxは、ITセキュリティ会社をはじめ様々なITスペシャリストを求める企業のリクルート活動の場になることも期待されている。IT教育から技術者の養成、そしてリクルートと、IT先進国へ向けて一体化した取り組みを進めるイギリス。今後どのような成果をあげるのかが注目されると共に、他の国にとっても取り組むべき喫緊の課題であるのかもしれない。
(文/仲田しんじ)

【参考】
・BBC
http://www.bbc.com/news/technology-34379256

・「Cyber Security Challenge UK」公式サイト
http://cybersecuritychallenge.org.uk/

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