『優男とサディスティック』ストーカーと被害者がいつのまにかマイルドSMな関係に…秀良子のBLマンガが“萌える”!

 先日、40代の男性にストーカー行為をしたとして、20代の男性がストーカー規制法違反容疑で逮捕されたというニュースが報道された。被害を警察に相談した40代の男性からしたら迷惑な話であったに違いないが、“腐った脳”をお持ちの方々は、不謹慎にも「ストーカー……。BL(ボーイズ・ラブ)ならよくあるシチュエーション!」と思ったのでは。少なくとも私はそうだ。そんな中、ストーカーを題材にしたBLマンガが発売された。『優男とサディスティック』(徳間書店)である。

 本作を手掛けるのは、実写映画化された『宇田川町で待っててよ。』(祥伝社)に加え、『イケメン君とさえない君』『ネガティブ君とポジティブ君』(一迅社)といった「君×君」シリーズで知られる人気作家の秀良子。登場キャラたちの複雑な心情、愛することの切なさなどを優しいタッチで描くことに定評のある作家だ。

 この物語に登場するのは、平凡メガネの地味サラリーマンの高瀬と、高瀬をストーキングするイケメンニートの吉野。吉野のストーカーっぷりは生半可ではなく、高瀬の生活パターンをばっちり熟知しているのはもちろん、寝ぐせがついた高瀬を見ては、「宇宙一ミラクルかわいい」とにやけるほど。

 しかし、そんな吉野のストーカー生活は、ひょんなことで終わりを告げる。高瀬に姿を見られ、逃げようとする吉野。それに対し、「人の人生オモチャにして楽しいのかよ」と涙を浮かべる高瀬……実は2人、高校の同級生という間柄。当時やんちゃだった吉野は、暇つぶしがてらに高瀬をいじめ、半裸の高瀬を写真に収めるものの、涙を浮かべる高瀬を見て胸キュン。それ以降、吉野はずっと高瀬のことを想い続け、その結果ストーカーに走ってしまったとのこと。

 その後は、開き直って駅前で忠犬ハチ公の如く、高瀬の帰りを待つ犬になった吉野。高瀬は「何でもします 付き合ってください」と懇願する吉野を拒むが、徐々に気持ちを侵されていく。そして、ずっと付きまとっていた吉野が突然姿を消した時に、やっと自分の本当の気持ちに気づく……という、“BLあるある”な流れを見せるものの、秀良子が叙情的に描く2人の複雑な関係、感情にきっと誰もがときめくはず。

 個人的に萌えたのは、2人の絡みのシーン。意外にも吉野はMで、そんな吉野に振り回されていくうちに高瀬が隠れSを発揮。けれど、吉野が高瀬を先導していき、高瀬の心の壁を崩していくシーンに“萌え”た。

「ストーカーきっかけで関係を築くなんてマンガだけの話だろう」と言ってしまえば、そのとおり。だがしかし、もしかしたらこの世のどこかにストーカーから成就したカップルがいるのではないかと(いても良いんじゃないかと)、『優男とサディスティック』を読んだ一腐女子は思うのでした……(でも、ストーカーダメ、ゼッタイ!)。
(文/月島カゴメ)

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