実は「RETAS」ユーザー! 山村浩二のアニメーション制作は『もーれつア太郎』がキッカケ【前編】

山村「『RETAS!PRO』を使ったのはヤマムラアニメーションを作ってからですね。96年の『バベルの本』が最初だったんですけど、業務用だったんで当時300万くらいしたんです。それが使えるMacintoshの最上位機種も100万くらいかかって、インクジェットプリンターも200万とか。今では考えられない金額ですよね。あの当時の設備投資を思い出すと嫌になりますが、当時はフリーで稼いだお金が全てそういう風に消えていきました。

『Director』は出た当初にも使った覚えはありますけど、『Flash』(マクロメディア→アドビ)が出始めの頃に『Director』で組んだ記憶があります。もともと『Photoshop』を使いたくてMacを導入したんですけど、『カロとピヨブプト』では素材として写真を自家現像していて、そこにもうちょっと加工したいという欲求が出てきたので(NHKで放送した)『パクシ』を作る時にMacを導入しました。まだパソコン内で全部の映像を組み上げるのはメモリも容量も足りなかったので、『パクシ』の顔を『Photoshop』で加工してプリントアウトしていました。最終の映像は35mmフィルムでコマ撮りしていたので、贅沢な作り方ですね。編集はフィルムで撮ったものに音をつけるためにビデオに落としていました。なのでネガは編集していなくて今でもウチに残ってますが、音が入ってないのでフィルムでは上映できないです。


『バベルの本』(1996年)

『カロとピヨブプト』の次にBSで海外協力のシリーズものの企画依頼がありまして、それで自分が好きな作家のホルヘ・ルイス・ボルヘスをシリーズにする企画を出したら、担当者は気に入ってくれましたがなかなか予算がつかなくて、『カロとピヨブプト』の『プチクレイ』の後にできた番組『プチプチ・アニメ』の予算が取れて、そのBSのデモとして作ったのが『バベルの本』でした。BSでは大人向けを意識してたんですけど、子供向けですね。それが、制作許可が下りたのが放送の1カ月前だったんです。それで演出コンテを1日で描き、『RETAS!PRO』を導入して習得しながら立体の人形も作りながら動画も描いて、動画も3コマ打ちで枚数を制限しながらでしたが、単発企画とはいえ今思うとどうやって作ったんだろうと。自分では思い入れのあるボルヘスを作れるし、もっと『RETAS!PRO』も使いこなせる方法があるなとか、やりながら色々できると思ってたんですけど、最終的には時間がなく消化不良でした」

 このほか山村監督の仕事としては、1999年に制作した中村一義のMV『ジュビリー』を思い出す人も多いだろう。後編ではアカデミー賞にノミネートされた『頭山』から現在までの話を伺う。
(取材・文/真狩祐志)

ヤマムラアニメーション
http://www.yamamura-animation.jp/

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