ロリコン狂喜！股間に全裸にどっきどき♡ 全部見せます愛蔵版『どっきんロリポップ』

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<イラスト/服部昇太>

　僕もマンガ家としてデビューしてからもう10年、そこそこの期間、この業界にいることになるので、周囲からはいろんな話を耳にします。出版不況の話、バブルの頃はよかった話、最近のウェブマンガの原稿料の安さの話……なんとも暗い話ばかりですが、「やっぱりソフトエロ漫画はよく売れるよね！」なんて話も最近聞きました。

　ソフトエロ――つまりエロマンガにはカテゴライズされない程度の〈軽めのエロいマンガ〉はやっぱ売れてるらしいのです。いわゆるエロありきのラブコメですね。現在だと『To LOVEる』（集英社）などが代表作でしょうか。僕らが子どもの頃の90年代も『電影少女』（集英社）や『BOYS BE…』（講談社）など、人気作がたくさんありました。

　ちなみに小学生の頃『つきあってよ！早月ちゃん』や『爆骨少女ギリギリぷりん』（共に集英社）といったソフトエロマンガを、こそこそ勃ち……もとい、立ち読みしていた『月刊ジャンプ』で、まさか僕が将来デビューすることになるとは夢にも思いませんでした。

　そして、このエロラブコメ・ソフトエロマンガ業界でカルト的人気を誇る名作の愛蔵版が今年8月、発売されたのです。それこそ、『どっきんロリポップ』（講談社）なのです！

どっきんロリポップ 全部！／井沢まさみ

“カルト的人気のソフトエロマンガ”って説明は、冷静に考えるとだいぶ矛盾してるような気もしますが、しかしこのマンガがいかに画期的で当時の青少年の心に突き刺さった名作かということを、今回は4項目に分けて自分なりに紐解いていきたいと思います。

〈エロリポップ要素その①〉
「全裸が見れる」

　ソフトエロに必要な要素は、まずなんと言っても“全裸”。少年誌のエロマンガを読むメイン層は小中学生。彼らが見たいのは、主にパンチラやおっぱいです。しかし、欲を言ってしまえば全裸なのです。全裸が一番見たいのです。

　その点をこの作品は、超能力を使える主人公・智子チャンが「超能力で瞬間移動するたびに全裸になる」という画期的なシステムで見事に対応してしまっているのです。「うん、確かに服までは瞬間移動できない気もするな……」と、なんとなく納得できてしまう、秀逸な設定なのです！

〈エロリポップ要素その②〉
「全裸が何回も見れる」

　ソフトエロが陥りがちな問題のひとつに、「エロいシーンの数が少ない」というのがあります。ページを物語性に割いてしまうと、自動的にエロシーンに費やせるページが減ってしまうからです。展開によっては「エロシーンが一回もない」という事例が発生することも。読者はエロを求めているのにエロシーンがない――これは由々しき問題です。

　しかし、その点もこの作品は「智子チャンが1話の中で何回も瞬間移動する」という未曾有の展開で見事にカバー！　だって移動するたびに全裸になってしまうんですから、しょうがない！

〈エロリポップ要素その③〉
「緻密な股間の描写」

　このマンガの最も革命的な部分は、股間の描写です。従来のソフトエロ業界では、股間は「ギリギリ出さない」「物や人物の角度やコマ割りで隠す」などが平常運転でしたが、この『どっきんロリポップ』においては……

出す！

出す！

　何かで隠す気なんて毛頭なく、とにかく出すのです。でも、達磨は作っても目は入れてないというか、直接的な股間の描写はされていません。しかし、子供心にこれは衝撃です。この大胆不敵な発想こそ、エポックメイキングと言えるでしょう。

〈エロリポップ要素その④〉
「智子チャンがかわいい」

　いろいろと申しましたが、マンガにおいて最も重要な部分と言っても過言ではありません。そう、主人公がかわいいこと。『どっきんロリポップ』のヒロイン・智子チャンは、1980年代のロリコン心をくすぐる体型、ファッション、キュートな性格……そんな「かわいい子」の「全裸が」「何回も」「そして股間まで」見えるのです！　そう、すべての要素が数珠のようにつながることで、この凄まじき破壊力を生み出しているのです。

　マンガは〈キャラクターが命〉と言いますが、誰もが知ってる有名作ではないながら、発売後30年近くを経ても、いまだに愛蔵版が出るほどのこの作品のカルト的人気……すべては智子チャンがかわいいからなのです。これは自分もマンガ家のはしくれとして、心に刻んでおくべきことだと、強く感じた次第であります。

　ちなみに最近までは、中古でも滅多に見かけない作品だったため、おすすめするのも困難でした（後半の巻になるほど部数が少ないので、中古価格が高騰するんです。4巻はプレミア価格で2000円前後）。しかし、この『どっきんロリポップ！全部』発売の機会に、みなさんぜひ！

［プロフィール］
■服部 昇大(はっとり しょうた)
マンガ家。著書に『ダークアクト』や『魔法の料理かおすキッチン』（共に集英社）など。現在となりのヤングジャンプにて『今日のテラフォーマーズはお休みです。』連載中。最新巻第3巻、好評発売中！〈http://tonarinoyj.jp〉