次々描かれる名所案内がスゴイ!『地下鉄に乗るシリーズ 京ガールズデイズ 太秦萌の九十九戯曲』

1510_kyo.jpg『地下鉄に乗るシリーズ 京ガールズデイズ 太秦萌の九十九戯曲』(幹(文)・賀茂川(絵)/講談社ラノベ文庫)

 すげえタイアップだ! 幹(文)・賀茂川(絵)『地下鉄に乗るシリーズ 京ガールズデイズ 太秦萌の九十九戯曲』(講談社ラノベ文庫)は、誰もがそんな感動を抱く作品です。

 メインヒロインの太秦萌、松賀咲と小野ミサの3人は、京都市交通局のオリジナル応援キャラクター。京都市内の高校に地下鉄を使って通う高校2年生という設定で、8月にはアニメCMも完成し話題の3人です。

 そんな彼女たちが、今回はついにラノベになってしまったんです。最初から京都を萌えさせている彼女たちですから、物語はほとんど京都の観光案内になっているというのが作品のポイント。京都を舞台にした2時間サスペンスにおいて犯人が真相を告白する舞台が名所だったり、ロケに借りてる施設の看板がバックにずっと映っていたりするのと一緒ですね、はい。

 今回の物語は「3人の女の子たちがキャッキャウフフしながら、京都のいろんなところを回るのを神様に奉納」するという、パワースポット巡りに出かけるというもの。ですから、京都の名所がどんどん出てくるのです。

 それに、ただ名所が出てくるだけではありません。京都に関するいろんな豆知識も次々と挿入されていきます。例えば、京都を旅行した時に気になる複雑な通りの名前。これを、こんな風にサラリと解説してくれます。

京都は縦横まっすぐに道が敷かれているため交差点が多く、その交差点の名称は交差する通りの名を合わせて呼ばれている。 ここは縦の烏丸通と横の御池通の交差点だから烏丸御池。


 さらに、その近辺にある京都国際マンガミュージアムにも、物語はクローズアップ。「ここなら三百円で閉館までマンガが読み放題」とまで教えてくれるのです。なんてことでしょう! こうした豆知識の積み重ねによって、読者も一緒にキャッキャウフフしている気分になっていくではありませんか!

 とりわけ秀逸なのは、3人が名所をめぐる中で起こった一大事件。二条城の虎の間の襖に描かれた虎たちが逃げ出してしまうんです! もう、おわかりですよね? これは京都に行ったときには二条城に行って虎の襖絵を見なくては……そんな気分になるのは確実です。

 ここまで露骨に次から次へと名所を記述していくと、ともすれば押しつけがましい聖地巡礼ビジネスになってしまうかも知れません。けれども、名所紹介はあくまでおまけ。女の子たちのキャッキャウフフな日常の一部として名所を描くことで、まったく押しつけ感がなくなっているんです。

 ご当地ヒロインの新たなスタイルを提示する、この作品。彼女たちの日常にもっと密着してしまいたいと思いました。
(文=大居候)

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