爆笑問題が普段入れないところに潜入し、ディープな内側を探る教養バラエティ『探検バクモン』(NHK総合)が“トバしている”と話題だ。
9月16日と23日の2週にわたって「日本労働ブルース」と題し、日本最大の日雇い労働者の街である、大阪のあいりん地区、通称釜ヶ崎を取り上げたのだ。
1週目「浪花節編」は、地域の歴史や暮らしをテーマに執筆活動を行う水野阿修羅を案内人に迎え、三角公園の街頭テレビや、職業安定所のあるあいりん総合センターを訪れた。求人情報や訊ね人、炊き出しの場面などが放送されるも、路上を行き交う人にはボカシがかけられていた。
さらに、簡易宿泊所(ドヤ)に住む人間が高齢化し、生活保護者が多く住む“福祉の街”となりつつある現状や、全国各地で転々と働きつつも、最後は“人情の街”釜ヶ崎に戻ってくる老人のインタビューも放送された。往年のヒット曲「釜ヶ崎人情」に乗せて、主催者撮影と見られる夏祭りの映像が流される場面もあった。
「過去の暴動などの資料映像をまじえ、釜ヶ崎の歴史をていねいに追った作りは、さすがNHKといったところですね。それでも、暴力団事務所が集中している現実や、日常的に行われている覚せい剤の密売や賭博といった負の側面には一切言及されず“人情推し”となってしまったのは仕方がないとはいえ、ちょっと残念ではありますね」(業界関係者)
極めつけは2週目の「人情編」だ。生まれも育ちの釜ヶ崎のラッパーSHINGO☆西成がロケに加わり、一行は昼間から開いている飲み屋へと繰り出す。ホルモン焼きをつまみつつ酔客と会話を交わすのだが、そこには銀色のアサヒスーパードライのラベルがしっかりと映り込んでいいた。さらに、釜ヶ崎名物の激安ジュース自販機の場面でもメーカーのロゴが丸写しだ。路上を行き交う人間にはモザイクで、特定のメーカーの特定の商品が、“ダダ漏れ”というのはNHK的にはいかがなものかという疑問も感じなくもない。もちろんそこまで配慮したら全編がボカシとなってしまうことは必至だ。
さらに驚くべきは、釜ヶ崎に隣接する飛田新地を取り上げたことだ。言わずと知れた“ちょんの間”と呼ばれる風俗街である。本格的な営業が始まる前の昼間の時間帯とはいえ、一般客ですら“撮影厳禁”の飛田新地がテレビで取り上げられることは極めて珍しい。番組ではあくまでも飲食店として紹介され、売春行為についても直接言及されることはなかった。それでも、各店舗のすべての看板にはボカシがかけられていた。
番組の最後には、普段は女性が座るマジックライトが灯った玄関口にあがり込み、エンディングトークとなった。小さい頃から飛田を遊び場として育ったSHINGO☆西成が「子どもながらにお姉さんたちの仕事を知り、距離を置いた時に、一瞬見せる寂しそうな顔を覚えている」といった話が披露された。
「2週目では冒頭に西成を舞台とした漫画・アニメ作品『じゃりン子チエ』に言及され、作品に出てきそうな場所として路地裏を歩く場面も見られました。うまく理由をつけていますが、本当にヤバイところは映せなかったというのが実情でしょう。それでもNHKでここまで踏み込むのは、かなりの英断ですね」(前出・同)
テレビでは取り上げられていないディープスポットは日本国内にまだまだたくさんある。次はどこに潜入することになるのか。気になるところだ。
(文=平田宏利)
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