『征服系女子』(香吹茂之)ハード系なのに妙にユーモラスなM男向け!? 

 最近、やたらと需要が増えているドM男子向けエロマンガ。このたび発売された香吹茂之『征服系女子』(ティーアイネット)は、またまたドM男子の股間を直撃してくれる、長らく実用に耐えそうな一冊である。

 中編2本と短編1本+おまけを収録する今回の単行本だが、特に実用度が高いのは3話構成で描かれる「フェティッシュ・ガール」である。

 この物語は、2年生になりクラス替えで隣の席になった黒髪清楚系女子を、ちょっといいなと思っている主人公のモノローグから始まる。

 そんな主人公が、忘れ物を取りに戻って遭遇したのは、教室でその女子・相川が机で角オナニーしている姿だった。相川は、見られても平然とオナニーを続けるどころか「キミもすれば」「それが公平ってものでしょう」と挑発し、主人公の射精する姿をスマホで撮影するのである。

 翌日から、相川は授業中にスマホで撮影したその恥ずかしすぎる写真をチラ見せしてきたりして脅迫してくるのだ。そして、主人公は「キミの初めて、私の靴底になっちゃったね」と罵られながら足コキで射精してしまう。この相川の罵り文句が格段にドMの股間を直撃するのが、この作品の重要なポイントだ。何しろ「家ではキミをオカズにオナニーしているのよ」なんてセリフを吐かれるし、授業中に見せつけるようにオナニーを始めるという過激な挑発も。こんなことされて耐えられるドM男子がいるだろうか。いや、ドMじゃなくても、一瞬でドMに目覚めてしまうのは間違いないだろう。

 ティーアイネット作品が得意とする、大ゴマを多用して迫力満点に魅せる構図と相まって、犯されている感が半端ない。

 しかも、相川は責め一辺倒ではないのだ。

「挿入したらキミの恥ずかしい写真バラまくわよ」と本番は拒否しながら「ハメなきゃオナニー」という独特な理屈でアナルセックス……いや、キュウリやニンジンのかわりに男根を使ったオナニーを2人で楽しむのである。

 どう考えても、ちょっと変わった趣味のバカップルである。第3話になると夏休みに2人で海に出かけているし、客観的に見たら2人は付き合っているとしか思えない。

 この意図しているのかしていないのかわからない、扇情的な構図の裏に隠れたユーモアが、香吹作品の重要な魅力なのである。

 その隠れたユーモアが存分に展開されているのが冒頭の収録作「触」である。この短編は、生物兵器の触手に特殊部隊の女隊長から男までもが犯され尽くす物語だ。この作品、強そうなハゲの副長は美人な隊長の奴隷という設定。このハゲも触手に尿道アナル同時責めで堕ちてしまうんだが、自分の奴隷が触手にいいようにされ、美人隊長は思わず悔し泣きを……。果たしてこのシーンは必要か? もともとハードボイルドタッチの作風だけに、これはギャグで描いているのではないかという勘ぐってしまうのである。

 物語がどんな方向に転んでも、妙に幸せな気分になれる独特の作風が存分に展開された、この単行本。帯には「ドMが売れる世の中が来るなんて……いい時代だな!!」と記されているんですが、これは編集者の心の叫びなのか?
(文=ピーラー・ホラ)

この雄ブタ!! (MUJIN COMICS)

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こちらもまた……ドM歓喜!

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