『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』出版記念対談【前編】

【小明×姫乃たま】精神を病む素質あり(!?)の売れないアイドルの幸せはどこにあるのか?

■小明「化け物の姿でしかテレビ出れないし、芸能界にしがみついてる態度が要求される」

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たま 小明さんがグラビアアイドルとしてデビューされた12年前は、まだ地下アイドルの単語すらなかったと思うのですが、当時と比べて現在のアイドルシーンってどう見えますか?

小明 地下アイドルもいるにはいたよ。でも、私の時代はまだ売れないグラビアアイドルが断然多かったの。今はその子たちがみんなライブアイドルになっていて、時代は変わったんだねぇ。私も小さいライブハウスでライブアイドルみたいなことやってた時期があるんだけど、常に戦々恐々としていて。だいたいいつも同じファンしか来ないのに、その少ないファンをみんなで奪い合うんだよね。アイドルがほかのアイドルファンをかっさらおうとすごいボディータッチをかましたり、裏でつながってみたり、楽屋で「なんかウチのファンがごめんねー?」みたいな牽制があったりさ。下手なキャバクラよりも距離が近かった。

たま わはは、その辺はいまとまったく変わらないですねー。そんな環境の中で辞めなかったのはどうしてなんですか。

小明 最初は単に事務所の契約で辞められなかった。そこを辞めたのが19〜20歳の時かな。まだいけるんじゃないかって気持ちもあったけど、一度も売れたことないし、コネもないし、グラビアでは10代の新しい子が活躍してるし、パニック発作と鬱病もあって、円形脱毛症で禿散らかしてたし、親は死んだし……なかなか積んでた!

たま 私も鬱病だと診断されたのは10代の終わりでした。鬱は死にたくなる病気ですけど、パニック発作は本当に死にそうになるらしいですね。

小明 サブカルかぶれは19で病みがち〜! パニック発作は弾みで死にそうになるから、思考回路をぼんやりさせる薬を飲んでいてね、その頃の記憶とかほとんどない。そんなわけで、ろくに外にも出られない状態だったけど、何かやらないとダメだと思ってライターの仕事を始めたの。基本は売れないグラドルだったけど、ちょこちょこ文章書いてたら事務所を辞める時に「BUBKA」(白夜書房)と「アームズマガジン」(ホビージャパン)で連載をもらえて、当時はEX系の雑誌もいーっぱいあったから、ちょっと文章書けるアイドルが重宝されたのよ。それで連載5〜6本もらって、「お? いけるやん!」と思って、文章書きながらグラドルとして売れる日をニラニラ狙っていたわけですよ!

たま うーん、私も売れないライブアイドルしながら細々エロ本に文章書いてたんですけど、一気に連載増えたのは20〜21歳でした。順調に後をたどっていますね……。

小明 そこで調子乗ってずるずるいくとこうなるよ(ハート)。

たま まずい! なんとかしないと!

小明 ……! 昔は大きい仕事がしたい欲求もあったんだけど、いつしかなくなったな。少しやってみると、私この器じゃないってわかる。それに、動いてる自分を見るの大っ嫌いなの。

たま あっ、わかります。

小明 気持ち悪いんだよ、喋り方がもしゃもしゃしてるし。

たま 私もそうですね。でも、中川翔子さんもそうですよね。

小明 オタク喋りだよね。内面もキテるし、あの人がお茶の間で活躍してるのは奇跡だよ。私もこの間テレビに出たんだけど、1週間後にハゲたもんね

たま あっ、芸能人を悲しい順にランク付けするやつですよね? あれ、テレビ局まで呼ばれて自分の悲しいエピソード散々喋ったのに出演断られて、誰が出てるのかなと思ったら小明さんでした!

小明 ええ〜! そうなんだ〜? (嬉しそうに)なんかごめんね〜? テレビ収録って、楽しもうという気持ちとストレスが両方マックスで来て、けっこう高確率でその後にハゲる。

たま わははは、わかります。テレビは難しいですよね。初対面でも出版社の編集さんとはグルーヴが生まれるんですけど、テレビ局の人だとなんか……。優しくされてるのに話が合わなくて申し訳なくなります。それに出演者として奇抜さに欠けるんですよね。

小明 私も特に「コレで行きます!」っていうのがないから、ゾンビだったりアイドルライターだったり、そのときの相手が求める姿で行くんだけど、だいたい化け物の姿でしかテレビ出れないし、そうすると必然的に芸能界にしがみついてる態度が要求されるの。

たま そうですね、私も時に地下アイドルだったりライターだったり。基本的に地下アイドルの時は売れない悲惨さを求められます。

小明 「なんでそこまでしてアイドルでいたいんだ?」と聞かれて、「別にそういう生き物なんです」って言っても、それは求められた答えではないから、結局しがみついてる系の台本をおとなしく読むわけです。私はナチュラルにゾンビでアイドルをしていただけなんだけど、不思議だね〜。

たま あれ、説明しづらいですよね。業界からも世間からも、アイドルはテレビ業界から追われて、再び戻りたい存在だと思われているので。

小明 ネガティブな意見を求められて、それをお出しすると、今度は「じゃあ引退すればいいだろ!」って言われたりするし、何年続けても正解がなかなかわかりませんなー。 

(後編に続く)

●小明(あかり)
1985年生まれ。02年、ホットドッグプレスドリームガールズ準グランプリを受賞しアイドルデビューするも即低迷。アイドルライター、ゾンビアイドルでじっとり活動中。書籍『アイドル墜落日記』(洋泉社)、『卑屈の国の格言録』(サイゾー)、CD「君が笑う、それが僕のしあわせ」発売中。12月には、講談社より『アイドル脱落日記(仮)』が発売予定。

[小明の秘話]http://yaplog.jp/benijake148/
[twitter]https://twitter.com/akarusan

●姫乃たま
1993年2月12日、下北沢生まれ、エロ本育ち。地下アイドル/ライター。アイドルファンよりも、生きるのが苦手な人へ向けて活動している、地下アイドル界の隙間産業。16才よりフリーランスで開始した地下アイドルを経て、ライター業を開始。アイドルとアダルトを中心に、幅広い分野を手掛ける。以降、地下アイドルとしてのライブ活動を中心に、文章を書きながら、モデル、DJ、司会などを30点くらいでこなす。ゆるく、ながく、推されることを望んでいる。

[地下アイドル姫乃たまの恥ずかしいブログ]http://himeeeno.hatenablog.com/
[姫乃たまのあしたまにゃーな]http://ameblo.jp/love-himeno/
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潜行~地下アイドルの人に言えない生活

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