ブルートレインの裏話も! 関水金属創業期社員が明かした“Nゲージ”の知られざる秘話

 一方、展示があったものでは、初の輸出モデルだったアメリカのディーゼル機関車・PA-1用の金型を作る彫刻原板。原寸の4倍で作られた原板を彫刻機の針(スタイラス)がなぞることで、金型を彫刻するそうだ。彫刻原板は、加工しやすさとスタイラスとの操作性から柔らかい真ちゅう製を使用しているが、原板を彫る角度とトレース時のスタイラスは60度の角度でなぞっているため、摩耗し難いという。そして、PA-1の屋根などの曲線部分は棚田のように細かく金属を削り、エッジに出たうねりは手作業で滑らかにしていたということで、「手仕上げの味が出ています」と国竹氏。模型を見るときは、そうした点も注目したいところ。PA-1の鉄道模型は、走行性能、外観ともに輸出先のアメリカからの評判もよかったそうだ。

150813_railway_5.jpg彫刻機。
150813_railway_6.jpg彫刻機を使用する創業当時の写真。

 意外な話が飛び出したのは、今回設計図面が発見された、日本製の蒸気機関車・C50の模型のエピソードだった。国竹氏によれば、「当社がNゲージを作ったとき、国内はHOゲージが盛んだったので、問屋さんに製品を持っていったら、『こんなもの、売れるか!』と言われました。そのため、PA-1という輸出製品を手掛けていったと聞いています」ということらしい。

 そして、筆者的に琴線に触れたのは、國竹氏が黎明期で印象に残っていることとして挙げた、JRの寝台列車“ブルートレイン”の模型の話。「ブルートレインの生産時期は、非常なことが起こりました。私が会社に出社したら、もう問屋さんのトラックが待っているのです。社員総動員で箱入れをする状態が1年以上続きました。そういうことが、私どもの製品をみなさんに愛して頂ける原動力になっているのかと思います」と国竹氏。筆者も例に漏れずブルートレインのファンだったので、1980年前後に起こったブルートレインブームの裏側の秘話に胸が熱くなった。

150813_railway_7.jpg関水金属が初めて生産した、国産初のNゲージの鉄道模型であるC50の模型。
150813_railway_8.jpgC50の設計図面。

 Nゲージが日本で発売されてから50年。今回の特別講演が行われた「鉄道模型コンテスト2015」には、たくさんの高校生たちが各々のこだわりを持って作った鉄道模型の出来を競い合っていた。時代や世代を超えて、これからも長く愛される鉄道模型であってほしいものだ。10年後のNゲージ60周年も、今から楽しみでならない。
(取材・文/桜井飛鳥)

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