赤塚不二夫&タモリがゲンをボコ殴り! 『進撃の巨人』よりもはるかにヤバイ実写版『はだしのゲン』があった!

 そして、もっとも意味がわからないのが3作目のオープニング。2作目までが(変なギャグは入っているものの)重く暗いストーリーだったため「いやー、暗すぎて客入り悪いっすね。もうちょっと明るい要素も入れましょうよ」という話し合いが持たれたのかどうかは知らないが、3作目のオープニングはスクールメイツ風の女子たちをバックに、ゲンがミュージカルばりに歌って踊りまくるという、明るいにも程があるというもの。

 一応、「戦争~な~んか~ご~めんだね~」というメッセージ性が込められた歌詞ではあるのだが、曲調&ダンスがあまりにポップ過ぎて頭に入ってこない! 「原爆の映画を観に来たはずなのに!?」とア然としていると、いきなり画面が切り替わってドカーンとピカドンのキノコ雲が……。当時、映画館で鑑賞した人たちは総ズッコケしたことだろう。

 ちなみに3作目でゲン役を演じているのは原田潤。最近では『世界一受けたい授業』でも使われている「ぼくの先生はフィーバー」を歌っていたあの子なのだ。ということで『はだしのゲン PART3 ヒロシマのたたかい』のオープニングテーマ「ぼくはハト」もなかなかダンサンブルで格好いい曲となっている。

■ひどい実写映画版のおかげでアニメ版が

 さて、ここまでダメダメな点ばかり書いてしまった実写映画版『はだしのゲン』だが、存在意義があるとすれば、ゲンたちの年齢をリアルに感じることができるという点ではないだろうか。

 中沢啓治先生の絵柄もあり、原作漫画では高校生くらいに見えるゲンだけど、原爆投下時には小学2年生という設定なんだよね。実写版ではリアルに小学生の子どもが演じているため、こんな小さな子どもが……胸に迫るものがある。ちなみに、学校で金を盗んだ疑惑をかけられ、教師から裸にされてしまった英子ねえちゃんも小学5年生設定。今だったら完全に児童ポルノだ!

 原作者である中沢啓治先生は案の定「こんなもんじゃ原爆の恐ろしさは伝わらない!」と、この実写版映画シリーズをあまり気に入らなかったようで、後に自分で資金を集め、あのトラウマ全開のアニメ版を制作したという。あの執拗なまでにハードな残酷表現も「あの実写映画版はなんだよ! 本当はもっとひどかったんだよ!」という中沢先生のメッセージを感じずにはいられない。

 ちなみに、2008年には当時ヒットしていた「千の風になって」に乗っかって『はだしのゲン 千の風になって』なる実写版スペシャル・ドラマが放送されている。

 こちらはさすがにヘンテコシーンはなかったものの、地上波のドラマということで原爆表現はかなりマイルドにされていたし、とってつけたように「わたしの~お墓の~前で~」が流れてきて、これはこれでアレな感じであったことを最後にお伝えしておこう。
(文・イラスト=北村ヂン)

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