頒布は5冊、だけど幸せ…初心者が同人活動を始めてみると…【イベント参加編】

 終わってみて思うのは、まずはPixivをやっていてよかった、だ。手紙の方もPixivで書いたものについてふれていたし、残りの4人の方も中を見ずに買っていたので、おそらく、Pixiv経由で私のことを知っていたと推測される。Twitterは面倒だ、という人もPixivはやっておいたほうがいい。

 また、ぼっち参加で交流もしない人なら、暇つぶしアイテムは必須だ。今回の私の場合、頒布できた瞬間以外の時間のほうが100倍以上長い。スマホでTwitterを見て、ほかのサークルの“完売はわわ報告”など見たところで暗くなるだけだ。次は、クロスワードの雑誌でも持参しようと思う。

 そして、遅刻厳禁だ。私の頒布はすべて午前中に終わった。周りを見ても、12時をすぎたら人の流れはかなり少なくなっていた。(これはジャンルの流行具合にも寄るが)。最初に壁に並び(大手サークルは壁側に配置されるので、“壁”と言う)、そこから島中(大手サークル以外は島のような形で配置されるので、“島中”という)に行くものかと思っていたが、島中であっても決戦は午前中だ。

 また、同人イベントに参加したいけれどもういい年だし、と「年齢」で二の足を踏んでいる人がいたら、ジャンルにも寄るが案外年齢はさまざまだとは言える。私(現在35歳)と同世代か上か、という人も結構いた。「いい年なのに、いいのかな」とか気にする必要はまったくない。周りとて同人誌のことしか見えていないからだ。ただ、同人の世界の力量に年齢はあんまり関係ないので、「あの子、あんなあどけない顔して壁であんな行列で、畜生……」とか、才能あふれる若者に嫉妬しがちな人にはきついかもしれない。

 同人イベントに出るのは、お金も手間もかかる。2010年8月のコミケでサークルに対して行ったアンケートでは、頒布数が100 部未満のサークルが過半数を占めており、さらに50部未満が32%を占める(『コミックマーケット35周年調査』より)。

 実際印刷してみた感覚として、1回で50部未満を頒布するサークルの収支は、ほぼ赤字。よくても印刷代とイベント参加費をかろうじて相殺できる程度だろう。私ももちろん赤字だ。そんな中、あえて手間暇かけて大勢の人がイベントに出るのは、手間以上にうれしいことがあるからなのだとは、出てみてしみじみとわかった。自分の本にお金を出してくれる感動は大きいし(事前の想像をはるかに絶する)、ニコッと笑ってくれる人がいるライブ感は計り知れない。終わったあとの一人打ち上げのビールも沁みた。ぼっち同人のイベント参加は、暇だが寂しくはない(1冊でも頒布できればだが)。またイベントに参加したい。

(文/石徹白未亜[http://itoshiromia.com/])

頒布は5冊、だけど幸せ…初心者が同人活動を始めてみると…【イベント参加編】のページです。おたぽるは、マンガ&ラノベ出版業界事情の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

PICK UP ギャラリー
写真new
写真
写真
写真
写真
写真

ギャラリー一覧

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!