濃密レポート!

“脱退するリーダー”に「裏切られたと思った」 はちきんガールズの新たな戦いが始まった「サバイバルライブ2015」濃密レポ

 長くはちきんガールズを見て来たファンにとっては、おおよそ予測が出来ていたのかも知れない。彼女の口から平田自身がグループを去ることが発表されても、驚きを見せる者がいなかったように見えた。その後に綴られた言葉の方が、より重かった。平田は、脱退の理由として、「写真を撮られることへの恐怖が拭えないでいる」ことを挙げた。これは、以前ライブ中に撮られた写真が、彼女の胸元を写したものであり、その写真が雑誌に投稿されたことが発端だという。はちきんガールズのライブは以前から、ライブ中の撮影が一部許可されている。これは、はちきんガールズを応援しようというファンがTwitterなどのSNSを利用して、彼女たちの魅力を伝えていくためのものだ。しかし悪意を持つ者にも、機会は与えられる。その結果が平田の心を傷つけた。

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 この話を聞いて、取材中のカメラマンの殆どが平田からレンズをそむけた。「写真を撮られたくない」そう言われて、シャッターをきり続けることは出来なかった。たった一枚の写真が、心無いメディアに掲載されて、才能ある若者の未来を遮る。そんなことがあっていいはずがない。撮影した本人に怒りを覚えつつ、メディアの品位について律するべきことがあるのではないかと自問した。

 一昨年、ファンが撮影した「奇跡の一枚」が福岡のローカルアイドルを全国区にさせたというエピソードがある。これを読んでいる皆さんなら、ご存じだろう。Rev. from DVLの橋本環奈のケースだ。この話の真偽については、ここでは語らないことにする。だが、もっと売れてほしい、もっと有名になってほしいというファンの気持ちに嘘はなかった。あの写真は応援の気持ちそのものだった。写真一枚が与えるインパクトとして、どちらが良いかは明白だろう。

 もちろん、脱退の理由はそれだけでなく、半年間の英国留学の間に新たな目標が見つかったこともある。むしろ、そちらの方が大きな意味を持っているはずだ。そうであろうし、そう願いたい。短期大学から4年制大学への編入に向けての勉強を続けるためにも、中途半端に芸能活動を続けるわけにいかない、という平田の言葉にも嘘はない。9月23日に行われる平田の「脱退ライブ」まで、はちきんガールズの活動に手を抜くこともないだろう。

 平田のスピーチが終わって、メンバーの川村、梶原、石川による平田へのメッセージが読まれた。大抵の場合、アイドルグループのメンバーの卒業が発表されると、その者に対しての労いや感謝の気持ちが美辞麗句のように並べられた手紙が読まれる。だが、はちきんガールズの場合、そうではないということが彼女たちの表情からも見て取れた。

150724_hachikin_14.jpg平田伊梨亜へのメッセージを読む川村あやの(左)。

 川村からの最初の言葉は、留学からの帰国した平田に「やる気が見えなかった」という厳しい一言。そして自分は、これからも頑張って有名になると宣言。この時すでに涙を目に溜めていたが、リーダーが去ることの悲しみとともに、置き去られる悔しさが滲み出ている様にも見えた。そして、いつもは泣き虫の川村が気丈にも大泣きすることなく堪えていた。川村からは、これまでリーダーとしてまとめてくれたことについて感謝の言葉が述べられた。梶原と石川には面白いままでいてほしいから、これからは平田の代わりに自分がツッコミ役となると言うと、張りつめていた空気が一気に崩れ、会場が笑いに包まれた。そして、これからもさまざまなことにチャレンジを続け、全力でパフォーマンスすることを誓って、締めくくった。

150724_hachikin_15.jpg梶原妃菜子(中央) 真面目に語りつつも、張りつめた空気を和ませる。

 続いて口を開いた梶原は、はじめは平田の脱退が信じられなかった、居なくなったら、はちきんガールズが終わりだと語った。でも、これまで平田に頼り過ぎていた、平田の代わりなどいないが、全力で、残りの3人で、はちきんガールズをやっていくと力強い口調で言い切った。

「妃菜子がおるき、安心してください」との言葉に客席から歓声と拍手が沸き上がった。「私は勉強も出来ないので、はちきんガールズしかないと思っています」で一瞬笑いが起きた。最後に全力で「伊梨亜ちゃんのバカ!そして、今まで本当にありがとう!」と泣き顔で叫ぶと会場全体が大きな拍手で包まれた。

 そしてラストは石川。脱退を伝えられた時、「裏切られたと思ったし、なんで? って思ったし、毎日考えた」という。平田がオックスフォード大学に留学を決めた時、正直、残りの3人で続けるのは無理だと思ったこと、それでも平田が帰って来る場所を残そうと思ったこと、半年間だけだから頑張ろうと思ったことを、声を詰まらせながら語った。そして待ちに待った平田の口から、帰国後間もなく、辞めると言われたことが悔しかったと。それでも平田がいない半年間で、メンバーたちも成長が出来た事は感謝していると伝えた。平田の脱退後は自分が最年長となり、メンバーや応援してくれる人のために頑張っていくと誓い、「同じはちきんガールズのメンバーとして、みなさんに謝ります。ごめんなさい」と会場に集まった観客に向けて頭を下げた。

150724_hachikin_16.jpg石川彩楓。平田へのメッセージは、自らの決意表明でもあった。

 平田は、メンバーそれぞれの顔をジッと見つめながら、一言も漏らさないようにと真剣に聞いていた。客席からの声援と、拍手が続いた。涙が止まらなかったのは、きっと私だけではないと思う。メンバーの脱退が寂しいというだけではない。美辞麗句では決してない言葉が刺さった。こんなに真剣なぶつかり合いを見るのは、一体いつ以来なんだろう? 何かを壊してでも本当の気持ちをぶつけていく。それが出来る10代の若者たちに、頭をガツンと殴られた気持ちだった。

 また、その戦う姿を包み隠さず、公の場で見せることが出来る潔さは、本人たちだけでなく、事務所のスタッフの方々にも共通していた。これが土佐の人間の真っ直ぐさなのかと、ただ敬服するより他なかった。今日まで、まさざまなステージを見てきたが、こんなにも心を揺さぶられる、ライブがほかにあっただろうか。

「サバイバルライブ」という公演タイトルを、改めて読み直した。

 客席にまで容赦なく放水し、水風船を投げつけてくる、観客にとって何が起きるか分からない破天荒なライブ。そんな意味だけではなく、このライブは彼女たち自身の「サバイバル」なんじゃないか、そう思えて来た。グループを去る平田にとっても、残る3人にとっても、生易しい道を、優しい誰かが用意してくれるわけではない。「卒業」という言葉を敢えて使わず「脱退」と言った平田にとっても、自分たちを置いて去ることを「裏切られた」とさえ表現する石川たちにとっても、生き残りをかけた新たな戦いが始まっているように思えた。「土佐の荒波、血潮にながれてる」。そう歌う彼女たちが強く、前に前にと突き進んで行ってほしい。心からそう思った。

150724_hachikin_17.jpgアンコールでは、真っ赤な「はちきんTシャツ」を着て3曲を熱唱
150724_hachikin_18.jpg2公演目のアンコールでも全力のジャンプ。
150724_hachikin_19.jpg最後は全員笑顔で締めくくった。
150724_hachikin_20.jpgこの日、オープニングアクトを務めた、やまももガールズ。

(文・写真/矢口明、写真/矢口卓)

■『はちきんガールズサバイバルライブ2015』夏まつりセットリスト

1. 南国土佐を後にして
2.  はちきんガール
3.  がんばるココロに恋は咲く 
   MC
4.  雨のスクリーン
   ~和太鼓道場ドンドコの単独演奏
5. 日本列島夢前線~ロングヴァージョン~(和太鼓道場ドンドコとのコラボ)
6.  冒険はじまる
7.  土佐の文旦
8.  高知の名産品メドレー
9.  はちきん地鶏~ハイパーヴァージョン~
10. I LOVE 柚子~~ハイパーヴァージョン~
   MC
11. 魔法使いサリー
12. 偽りの天国はイラナイ
13. 少年よ大志を突きススメ
   MC(平田伊梨亜の脱退について)
14. 新曲
15. 友達のままだよ

アンコール 
16. ほほえんで歩こう
17. 負けないチカラ
18. がんばる心に恋は咲く

【はちきんガールズ】
2010年2月結成高知県観光特使/海洋堂イメージガール
NHK「あまちゃん」キャンペーン・サポーター高知県代表
NHK「恋する地元キャンペーン」恋ジモサポーター高知県代表
2014年より東京に拠点を移し、全国・世界に高知をPRしている。
40曲を越えるオリジナル曲を持ち、20曲は高知県名産の漁業・畜産・農業・お菓子・名所を網羅。メンバーは、ユニット活動以外でも個々に映画・ドラマ・ミュージカルに出演する個性的な高知出身の4人。

【はちきんガールズサバイバルライブ2015】
日時:7月20日(月・祝)
会場:上野恩賜公園水上音楽堂
①海まつり開場11:30/開演11:45
②夏まつり開場15:30/開演15:45
※出演:はちきんガールズ・やまももガールズ・雲間の月明かり/協力:和太鼓道場ドンドコ

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