恐竜ロボットがチェックイン担当！ 長崎ハウステンボスの“ロボットホテル”が話題に

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長崎ハウステンボス内にオープンした「変なホテル」HPより。

　世界初となる自分の感情を持ったパーソナルロボット「Pepper」が6月に発売されたのも束の間、つい先日にはロボットが接客するホテルが長崎県にオープンして、海外メディアの注目を集めている。

■チェックインカウンターでロボットがお出迎え

　増え続ける訪日外国人数――。政府機関の統計によれば、2014年は過去最多となる約1341万人の外国人が日本を訪れた。この状況の中で懸念されているのがホテル不足だ。ホテルの客室数の不足もあるが、従業員の不足もまた問題になってきている。

　そこで注目を浴びているのが、この“ロボットホテル”だ。今月17日に長崎県・佐世保のテーマーク「ハウステンボス」内にオープンしたこの「変なホテル」のフロントには3体のロボットが並び、宿泊客を出迎えている。

　制服に身を包んだ女性のロボットはパッと見では人間の従業員と見紛うほど精巧にできているが、その隣にはなんと恐竜のロボットが英語で来訪客のチェックインに対応。どうして恐竜のロボットなのかはいまひとつわからないが、インパクト大！　一度宿泊すれば忘れられない思い出になるだろう。

　もちろん従業員ロボットに任された業務はチェックインばかりではない。荷物の預かりは力強いロボットアームが軽々とこなし、チェックイン後の部屋への案内もキャリー型の自走ロボットが行う。また、チェックイン時にフロントに備え付けられたカメラが宿泊客の顔を認識・登録しており、部屋には顔認証で出入りできるというのも大きな特徴だ（顔認証を希望しない客にはカードキーの発行も可能）。

　もちろん“人間”スタッフもホテルには常駐しているが、業務のかなりの程度をロボットが行っており、経営面で人員、人件費を大きく削減できることは明らかだ。少ない人員で営業が可能になれば、ホテルを増やすこともそれだけ容易になる。深刻な人手不足を解消するために接客業務でもロボットが活躍する時代が到来したのだ。

■銀行の店舗でもロボットの“採用”が進む

アルデバラン社製の人型ロボット「Nao(ナオ)」紹介ページより。

　ほかにも、銀行業務でも接客ロボットの導入が進んでいる。三菱UFJ銀行ではこの4月に東京の店舗で接客用の人型ロボットを配置した接客サービスを試験的に行っており、7月21日からは大阪の店舗（大阪中央支店）で窓口業務もロボットが担当している。このロボットは仏・アルデバラン社製の人型ロボット「Nao(ナオ)」で身長58センチメートル。現在のところ4カ国語に対応しているということだ。

　一方、みずほ銀行のほうもこの7月から「Pepper(ペッパー)」を東京中央支店で“採用”。接客対応や窓口への誘導などの業務を行うという。待ち時間に保険商品の紹介を行ったり、ゲームを一緒に遊んだりするサービスもあるとのこと。このロボット行員は今後徐々に増え、銀座中央、玉川、調布、横浜駅前の4支店にも近々“入行”する予定だそうだ。

　また、三井住友銀行では人間の言葉を理解するIBM社製の人工知能「ワトソン」をコールセンター業務に今後活用していくことを発表している。人工知能ならではの“ディープラーニング”によって、顧客との対応を重ねるほど、より優秀な“銀行員”に成長していくということ。ちなみに、このワトソンはアメリカのクイズ番組で人間を相手に勝利した人工知能でもある。

　これまでは自動車など工業製品の生産部門で活躍してきたロボットだが、今後は接客業へのロボットの進出がますます進むことになりそうだ。微に入り細を穿った極上の“おもてなし”はまだロボットたちに期待できそうにないが、“事務的”なサービスが求められている業務ではむしろロボットのほうが向いているのかもしれない。そして欧米圏の人々にとって歓迎すべきは、ロボットのサービスに“チップ”が要らないという点もあったりして!?
（文／仲田しんじ）

【参考】
・The Guardian
http://www.theguardian.com/world/2015/feb/04/japanese-bank-introduces-robot-workers-to-deal-with-customers-in-branches

・47news
http://www.47news.jp/CN/201507/CN2015072101001804.html

・産経ニュース
http://www.sankei.com/economy/news/150721/prl1507210083-n1.html

・日経新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO84596040Z10C15A3X11000/?df=2