“著作権侵害”で訴訟されたのに大丈夫? 『ハイスコアガール』フィギュア化は法的に問題はないか、弁護士に聞いてみた

1507_hiscoregame.jpgグッドスマイルカンパニー公式サイトより。

 今月14日、押切蓮介氏のマンガ『ハイスコアガール』(スクウェア・エニックス)に登場するキャラクター「大野晶」のフィギュアが発売されることが決まった。ネットでは喜びの声が上がる一方、「訴訟されたのにフィギュアは出るの?」といった声が多数見受けられる。

 というのも、昨年5月、『ザ・キング・オブ・ファイターズ』などで知られるSNKプレイモアが『ハイスコアガール』内で自社のゲームのキャラクターなどを無断で使用されたとして、スクウェア・エニックスおよび同社の出版部門関係者を刑事告訴。告訴を受けて、『ハイスコアガール』の連載はストップし、電子書籍・単行本は書店から姿を消している。2013年に発表されたアニメ化についてもその後音沙汰がない。今もなお、両社の裁判は続いている状態だ。

 今回、大野晶はグッドスマイルカンパニーの人気シリーズ「ねんどろいど」よりフィギュア化。今年11月に発売される予定となっている。だが、ネットでは『ハイスコアガール』の騒動を踏まえ、「フィギュアはいいのか……」「マンガについては音沙汰なしだけどフィギュアは問題ないんかな?」といった戸惑い、疑問の声が上がっている。“著作権侵害”をめぐる裁判中の作品を商品化することに問題はないのだろうか。AVANCE LEGAL GROUP LPC弁護士の山岸純氏と渡部貴之氏は、次のように解説する。

「そもそも、『キャラクター』自体には著作権は発生せず、その『キャラクター』を描いた画像に個々の著作権が発生するというのが最高裁の判例なのですが、今回、SNKプレイモアも、『ハイスコアガール』というマンガ全体を“著作権侵害”と主張しているのではなく、作中の特定の“コマ”に“SNKプレイモアが持つゲームキャラクターの画像”と同一、または類似する画像が描かれていることをもって、“著作権侵害”としているわけです。

 とすると、その“コマ”以外は著作権侵害の問題はないし、その“コマ”以外に描かれている『ハイスコアガール』のキャラクターの画像は、結局のところスクウェア・エニックス(またはこの作者の押切蓮介氏)にあるわけです。したがって、スクウェア・エニックス(またはこの作者の押切蓮介氏)が著作権を有する『大野晶』の画像について、これを利用した2次創作物、今回のようにフィギュアを作成したり、これを販売することは、なんの問題もありません」

 大野晶のフィギュアは法的には問題ないよう。ネットには今回のニュースを受けて「早くマンガ復活してほしい」という声も上がっていた。今もなお、裁判に大きな動きは見られないが、今後、『ハイスコアガール』騒動がどのような結末を迎えるか、これからも注視していきたい。

(協力=山岸純、渡部貴之/AVANCE LEGAL GROUP LPC弁護士)

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