明日、7月15日から始まる「児童ポルノ」の所持禁止。「自己の性的好奇心を満たす目的」と制限はつけられたものの、意図せず「児童ポルノを所持している」という理由で逮捕される可能性はぬぐえない。
一方で、警視庁広報課(@MPD_koho)では、7月になってからTwitterを用いて「罰則適用まであと1週間!!」とカウントダウンまで行って、「児童ポルノは、確実に廃棄をしてください」と周知に努めてきた。しかし、現在に至るまで具体的な廃棄の方法、何が児童ポルノにあたるか、は明らかにしていない。
昨年、本サイトでは児童ポルノの範囲と廃棄の方法を警察庁に取材した(参照)。この際の取材に対して、警察庁は明確な答えを避けてきた。
その問題が解決されないまま、始まる児童ポルノ一部所持の禁止。おそらく多くの人が逮捕の不安に怯えているのではないか……。そう思い、今回は善良な一市民として、各所に問い合わせをしてみることに。
まず、電話したのは警察庁。
代表番号にかけると、すぐに広報室に転送。「児童ポルノの件で……」と言った時点で、質問も聞かずに話し始めた。
「具体的な事例でいいか悪いかは、地元の警察にお問い合わせをしていただいているんですよ」(警察庁 広報室 担当者)
こちらの質問も聞かないで、いきなり丸投げな回答だ。では、具体的にどのような方法で捨てればよいのかを尋ねたところ、「少々お待ちください」(前同)と3分余りの間、保留された。ようやく戻ってきた回答は、次のようなもの。
「そういう類いのものを、このようにして出さなければならない、という取り決めは今のところないので、なんというか、ご自身の判断といいますか、自治体の分別ゴミの規則に則って……。例えば、“廃棄”といって撒き散らすような行為は論外ですが、普通に規則に従っていただければ」(同)
昨年の取材では「具体的な廃棄の方法をお示しする立場ではない」と回答を避けた警察庁だが、ここに来てようやく具体的な廃棄の方法を!
さて、自治体ごとのルールを守ってゴミに出せばいいことは判明したが、どこまでが「児童ポルノ」に該当するかは明らかになっていない。そこで、警察庁のアドバイスに従い、今度は警視庁に電話してみることに。
まず警視庁総合相談センターに電話したところ、窓口として案内されたのは「STOP!児童ポルノ・情報ホットライン」の電話番号。ここは児童ポルノに関する事件情報の通報窓口だと思っていたのだが、そうした問い合わせも受け付けてくれるそうだ。
善良な一市民として「ウチにあるものの中で、どれが児童ポルノになるのかわからないんですけど?」と尋ねたところ、丁寧に回答してくれた。
「児童ポルノというのは、18歳未満の裸とか胸とか陰部とかを露わにした画像、動画、写真集、紙媒体などを指すんですけど、そういうのを性的目的で所持しているというのが罰則化されるんですね。個別に、この画像が大丈夫だとかはお答えできませんが、一般的な普通の水着とかは問題ないですね」(「STOP!児童ポルノ・情報ホットライン」担当者)
やはり個別の事例については判断できないのが、捜査機関の一貫した立場の様子。幾度も話題に挙がる、宮沢りえのヘアヌード写真集『Santa Fe』(朝日出版社)も性的目的で所持していると問題なのか? と尋ねてみると、「個別具体的なものはお答えできない」(前同)という。
となると、やはり意図せずに持っていると逮捕される不安が……。その不安を吐露してみたところ、的確なアドバイスが。
「ご自身で『これは児童じゃないか?』というのは、もう処分されてしまったほうがいいですね」(同)
さらに、児童ポルノに該当するかどうか判別がつかないグレーゾーンのものも処分してしまったほうがいいのか、尋ねてみたところ「そうですね!」(同)と明快な回答が。
ちなみに、15日以降所持していると逮捕される可能性は否めないので、処分は「早ければ早いほうがよいです」(同)とも。その処分方法については「第三者に取得されないように、シュレッダーにかけるなどするとよいですよ」と、警察庁よりも親切にアドバイスしてくれた。
「自己の性的好奇心を満たす目的」と制限がかけられたことで、研究や報道目的で所持する筆者らは、とりあえず難を避けられているとは思う。とはいえ、善良な市民はグレーゾーンの処分を勧める警視庁のアドバイスに従うべきなのか……?
(取材・文/昼間 たかし)
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