Appleの厳格審査などが話題となる中…「楽天アプリ市場」はゲームアプリの流通を変えることができるか？

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「楽天アプリ市場」公式サイトより。

『ファミ通ゲーム白書2015』（KADOKAWA・DWANGO / エンターブレイン）によれば、2014年の国内ゲームアプリの市場規模は7154億円に上り、そのユーザー数は3376万人を数えるという。つまり、日本人の約4人にひとりがゲームアプリで遊んでいることになる。『パズル＆ドラゴンズ』や『モンスターストライク』、『ディズニーツムツム』をはじめとしたゲームアプリは、すっかりおなじみだ。

　日夜数多くのゲームアプリが世に出ているが、これらゲームの内容に大きく影響を与える要素のひとつに、“アプリマーケット”がある。“アプリマーケット”といってもピンとこない読者のために簡単に説明すると、Appleの「App Store」やGoogleがAndroidで提供する「Google Play」のことを指す。アプリをダウンロードする際にアクセスする場所……とでもいえばいいだろうか。そのほか、Amazonの「Amazon Androidアプリストア」やNTTドコモの「dマーケット」、auの「auマーケット」などがあるものの、日本国内においては実質、前述の「Google Play」や「App Store」の2強といえる状態だ。

　こうした中で、今年4月、楽天がAndroidアプリマーケット「楽天アプリ市場」を7月下旬にオープンすることを発表。主にゲームアプリなどを取り扱うとのことだが、先に述べた通り、現在のアプリマーケットは「Google Play」や「App Store」が圧倒的。もちろん、楽天が提供するサービスなので、楽天スーパーポイントが利用できるといった利点などがあるものの、果たしてどこに勝機があるのか？　そこで期待したいのが、“国内企業ならではの攻めたゲーム”を配信してくれることだ。

　そもそも、アプリマーケットで配信されるアプリは、事前に審査されることが多い。この審査が一種の“規制”となり、ゲームの内容に影響を与えることがある。そのため、ゲームアプリでは配信停止や修正といった騒動がたびたび起こっている。

　特に、Appleの審査の厳しさはつとに有名だ。2014年には美少女ゲームアプリ『ガールフレンド（仮）』の多くのイラストがApple社のアプリケーション審査ガイドラインに従うため、一時的に非表示にされたことが話題となったり、今年3月には、こちらも美少女ゲームアプリ『グリモア～私立グリモワール魔法学園～』がApp Storeから削除される騒ぎがあった。これらは、胸の谷間が見えていたりといった、お色気要素を含んだイラストが原因とされている（現在は修正済み）。ほかにも、最近ではアプリゲーム『リア充爆発しろ！』が問題視されたようで、iOS版では『リア充絶滅しろ！』と改題、表現内容も修正を余儀なくされた。

　一方の「Google Play」は、Appleほど審査が厳しくないとされているものの、過去には一部の乙女ゲームが配信停止となるなど、前例がないわけではない。さらに、今年に入ってGoogleはアプリの事前審査や新しいレーティングシステムを導入しており、審査の厳格化が予想されている。

　そんな中での「楽天アプリ市場」の登場だ。

「楽天アプリ市場」公式サイトより。『ひぐらしのなく頃に 宙』事前登録では「レナの鉈」がもらえるという。

　すでに「楽天アプリ市場」公式HPで公表されているゲームアプリのラインナップを見ると、人気シリーズの最新作『ひぐらしのなく頃に 宙』や『モンハン大狩猟クエスト』といった有名タイトルをはじめ、『私がお世話してあげる！』や『麻雀ヴィーナスバトル』などのセクシーさを期待させる美少女系アプリ、はたまた、アイコンに書かれた「BL」というストレートすぎる売り文句が際立つ『ケモ彼』や、「昼ドラ」を大々的に謳う『牡丹の記憶』といった乙女ゲームアプリの配信を予定している。先の期待どおり（？）、『ひぐらしのなく頃に 宙』の事前登録では、「App Store」だったら即配信停止を喰らうんじゃないか？　と心配になるような特別アイテム「レナの鉈」を配布している。

「App Store」を筆頭に、ゲーム内の表現をめぐる騒動が話題となる昨今。もちろん「楽天アプリ市場」でもアプリの審査はあるはずだが、新規参入となる「楽天アプリ市場」がどこまで“攻めの姿勢”を見せてくれるか？　そんなところにも注目してみたい。
（文／中目黒日向子）

■「楽天アプリ市場」公式サイト内「事前登録」ページ
https://apps.rakuten.co.jp/reservation/pre-open/