『シェンムー3』実現に、フランス製作の『鉄腕アトム』――本社はモナコの「Shibuya Productions」が仕掛ける野望

■フランスでマンガ・アニメはニッチなマーケット――仏製作の『鉄腕アトム』にかける思い

“未完の大作”を“歴史に名を刻む大作”へと生まれ変わらせようとするShibuya Production。そんな同社のもう一つの巨大なプロジェクトが、2014年にアヌシー国際アニメーション映画祭で発表された『Astroboy Reboot』、すなわち『鉄腕アトム』新作アニメの製作だ。

 ビスカイ氏が、この企画を通じて構想するのは、フランスの地上波では日本のアニメはおろか、アニメそのものの放送が少ない、という現状を打破することだ。

 フランスのテレビ局では、放送時間のうち外国の番組を放送していい枠は全体の14%。その枠内でアメリカのテレビドラマなども放送されるため、日本のアニメが放送される時間はごくわずかだ。フランスには日本のマンガ・アニメファンが山のようにいる印象があるが、実際にはニッチなマーケットでしかないと、ビスカイ氏は語る。地上波で放送されなくても、IPTV(いわゆるインターネットテレビ)やケーブルテレビなどでは日本のアニメは放送されている。けれども、そこに能動的にアクセスするのは限られたアニメファンだけ。それ以外の視聴者は、わざわざ日本のアニメを探して視聴しようとは思わない。

「『Astroboy Reboot』は、これまで日本のアニメを観たことのない層と日本のアニメをつなげるものになると考えています。

 もうひとつ、フランスの地上波テレビ局は、8歳以降はゲームやネットに興味が移り、テレビは観ないだろうと考えています。でもそれは、ナンセンスです。テレビに8歳以降のコンテンツがないから、観ないだけです。ですので、『Astroboy Reboot』の目的のひとつとして、8~12歳の子供が観たくなる作品にする、ということがあります」

 そうした構想を実現するため、『Astroboy Reboot』は手塚プロダクションの許諾を受け、シナリオからキャラクターデザインまですべてがフランス向けにローカライズされている。制作を担当するのは、フランスのアニメ制作会社・CARIBARA。日本アニメの現地ローカライズというと、2012年に『巨人の星』が『スーラジ ザ・ライジングスター』のタイトルでインド向けにローカライズされたことが記憶に新しい。『Astroboy Reboot』は、ヨーロッパでは初となる試みだ。

「市場をフランスだけ、ヨーロッパだけに限定するつもりはありません。アメリカはもちろん、日本でも放送したいと考えています」

 フランスでの『Astroboy Reboot』放送開始は、2017年9月からクリスマス時期を目指して制作が行われているという。

 Shibuya Productionsでは、日本語のサイトも開設。これからもゲーム・アニメのみならず映画やマンガ、小説など、さまざまな日本の作品をヨーロッパとつなぎ、国際的なコンテンツへと成長させる挑戦を行うつもりだという。

 日本国内で“クールジャパン”が迷走している中、海外のほうから「日本の魅力的なコンテンツが欲しい」とやってきたということか。
(取材・文/昼間 たかし)

■Shibuya Productions オフィシャルサイト
http://www.shibuya-productions.com/

■Astroboy Reboot オフィシャルサイト
http://signup.astroboy-reboot.com/

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