“ネトウヨ受け”を狙った雑誌「スレッド」連載作が、なぜか奇跡の復活!! 究極のネタマンガ『テコンダー朴』

150706_tekonda.jpgテコンダー朴』(著:白正男/青林堂)

「汚ねえ朝鮮■落をブッ潰してやる!! さっさと日本から出て行きやがれ~!!」
 
 話題沸騰中のマンガ『テコンダー朴』(青林堂/作・白正男 画・山戸大輔)の単行本が、ついに発売になりました。冒頭のような過激なセリフと共に、主人公・朴星日が邪悪な民族であるチョッパリ(日本人)野郎を叩きのめす時に使うテコンドーの奥義の名前と解説が、発売前から話題になっていた作品です。

 登場人物たちがスゴイ技を使うたびに民明書房的な解説が入るのだから、少年マンガ的ワクワクが昂ぶります。例を示すと、カンチョーのように人差し指を重ねた「重根(チュングン)」という技を放つと「安重根(1879~1910)韓半島侵略の黒幕・伊藤博文を銃弾で撃ち斃した抗日闘争の英雄」といった解説が入ります。

 とにかくページをめくるごとに、作者の熱い魂が迫ってきて圧倒される作品。耐性のない人は一部の過激な言葉だけに目がいってしまい、「これはヘイトスピーチですよ!」と本を放り投げて、Twitterで怒りの連続ツイート→集会→デモ→出会い→セックスと、定番の“ルーティン社会運動スパイラル”にハマってしまうに違いありません。

 でも、そのパワーを必死に受け止めて読めば、面白さは抜群です。物語は、主人公の朴星日が父の敵である空手の使い手・覇皇を倒すため、覇皇武闘大会でライバルを倒して戦い抜いていくというもの。このラスボス・覇皇は「大東亜共栄拳」という奥義の使い手。試合は少年バトルマンガ的にトーナメント方式で進むのですが、一巻完結の作品なので、えらい勢いでとんでもないライバルたちが次々と現れます。

 そして、主人公・星日は、ライバルたちの中に生き別れの兄・朴英日の姿を見つけます。英日は、偉大なる指導者・金正日将軍直伝の奥義「主体」の使い手。将軍様直伝なので、奥義だけでなく「縮地法」だって当たり前のように使います。

 そんな兄弟の前には「三光斬」「皇軍剣道奥義百人斬り」なんて危険な名前の技を使う剣道の名手などが登場するも、どんな強い敵も星日たちには敵いません。なぜなら、テコンドーは5000年の歴史を持ち、空手、柔道、剣道、相撲、さらには仏教までもがすべて韓国起源なのですから。

 そして、本作には、“日帝”と並ぶ悪党として“米帝”からやってきたボクシングのヘビー級王者が登場します。元海兵隊員だという、この王者はガチ鬼畜です。「沖縄にいた頃はマジで楽しかったぜ。男がいたらブン殴って女がいたら即レイプだ。沖縄なら全然問題ねーからな」と、対戦相手である琉球空手の女当主を試合を忘れてボコり、レイプしようとするのです。筆者としては、このキャラの描き方についてだけは共感できました。

 この米帝の鬼畜過ぎる所業に、英日は怒りに我を忘れて乱入。そして、奥義「日成」の一撃で米帝を葬ります。そして、後半のヒロイン格となる琉球空手の女当主は、その圧倒的な強さに感動しまくるのです。「自分の国が欲しい」という女当主に対し、英日は「沖縄は古来より朝鮮固有の領土なのだから、朝鮮民主主義人民共和国に帰服するべきだ」と答えると、「そうしたら世界最高の民族になれるの?」と、女当主のハート鷲掴み。さすが、将軍様直伝の技を持つ男はスゴい。スゴ過ぎて、主人公の存在も霞みそうです。
 
 読後には、感動と共に朝鮮民族の偉大さに感服してしまいそうになる、この作品。もともとは、2007年に晋遊舎が創刊した月刊「スレッド」で連載されていたものです。この雑誌は、山野車輪の『嫌韓流』(晋遊舎)がヒットした勢いに乗って創刊されたのですが、一種のトンデモ雑誌でした。あらゆる仕事を断らない筆者も同誌でさまざまな記事を書いていましたが、編集者からの指示は「ネトウヨがウケるように書いてください」というもの。“行動する保守”ではなく“ネトウヨ”。いったい、どんな雑誌になるのかと思っていたら、送られてきた創刊号は、表紙から中身までのデザインがすべて某誌のパクリだったのです。あまりの堂々としたパクリっぷりに、当時は出版界でも噂になっておりました。

 そんな雑誌ですから、わずか3号で「休刊」という名の廃刊。というわけで、この『テコンダー朴』もそのまま消え去ってしまうのかと思いきや、青林堂がちゃんと単行本で完結させたんだからビックリ。ネタをネタとして消費できない了見の狭い人たちに怒られそうな、究極のネタマンガを出版するなんて……。発売から数日が経ち、そんな怒りの声を見ようとTwitterなどを検索するも、意外にもそんなに上がっていないよう。おなじみ神保町の高岡書店で売れ行きを聞いてみたところ、「『日之丸街宣女子』(青林堂)ほど、売れていないんですよね……」とのこと。いやいや、せっかくだから皆さん読んだほうがいいですよ。だって、これが売れたら月刊「スレッド」に連載されていた、もう一本の未完の作品『革命乙女キヨミ』の続きが読めそうじゃないですか! 俺はキヨミが豪華客船な「ピース・ボート」で旅立った後を読みたいんですよ!
(文/昼間 たかし)

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