Kindleでも読める30年前の名作プレイバック 第32回

第二部の戦闘シーンで一番盛り上がったのはワムウ戦!? 『ジョジョの奇妙な冒険 第二部』を振り返る

 マンガにおいて“敵”は、パンチ力1000キロとかいうデータではなく、親子だとか親の仇など、因果関係の方が重要視される。ジョセフが早い段階で喉と心臓に毒の指輪を仕込まれたのは、そうでなければ「ジョセフが戦う理由」がなくなってしまうからだろう。

 エシディシは『第二部』のキャラクターの中で、最高レベルに強いキャラクターだったが、試合はさほど盛り上がらない。ジョセフの師範代ロギンスを殺害しているが、ロギンスはそれほど愛着のわくキャラじゃなかったので、

「エシディシ憎し!!」

と読者が思うほどではなかったのだ。

 正直、過去の因縁があったストレイツォ戦や、最初の敵であるサンタナ戦のほうが盛り上がった。

 そんな『第二部』の戦闘で一番盛り上がったのは、なんと言ってもワムウ戦だ。それは、ジョセフの兄弟弟子であるシーザー・ツェペリを殺した相手だからだ。

 人類を守るなんてふんわりした理由ではなく、親友の仇討ちなのだ。戦う理由として、これ以上はっきりしたものはない。
 
 ワムウは悪どいキャラクターではなく、ジョセフも戦いながら敬意を抱く。ピッツベルリナ山で繰り広げられた戦車戦は、『第二部』のバトルシーンのクライマックスだった。
 
 ラスボスであるカーズは、残忍で勝つためには手段を選ばないキャラクターだ。途中、動物や植物には優しいみたいな設定があったが、最終的にはあまり生かされなかった。悪どいキャラとして、ディオとかぶってしまったような気がした。ただ、太陽光を克服し、究極生物になった後のカーズは、とてもダイナミックで、ハリウッド映画のような華やかな雰囲気で物語は幕を閉じたのである。

 個人的には終盤間際、脇役であった全身サイボーグと化したルドル・フォン・シュトロハイムがかなり活躍するのはとても楽しかった。ジョジョは『第二部』までは、大きな敵はすべて、主人公であるジョジョが倒している。『第三部』になり、主人公ではないジャン=ピエール・ポルナレフや花京院典明が敵に勝つようになるが、足がかりのような感じだったのかな? と久々に読んで思った。

 そうそう、久しぶりに読んだら、ジョジョが中盤まで武器として使っていたアメリカンクラッカーが急にやりたくなった。Amazonで調べたけど、あまり数は出てこない。eBayで『Clackers』で検索すれば出てくるのだけど、ジョセフが使っているような、重厚な金属のアメリカンクラッカーはなかった。よく考えたら、金属の玉をカンカン高速で動かしていてミスって頭に当たったら、頭蓋骨骨折するよな……という当たり前のことに気がついた。

 あのカッコイイ、アメリカンクラッカーはマンガの中にだけあるのか……と25年ぶりに気づいた夏だったのである。

●村田らむ(むらた・らむ)
1972年、愛知県生まれ。ルポライター、イラストレーター。ホームレス、新興宗教、犯罪などをテーマに、潜入取材や体験取材によるルポルタージュを数多く発表する。近著に、『裏仕事師 儲けのからくり』(12年、三才ブックス)『ホームレス大博覧会』(13年、鹿砦社)など。近著に、マンガ家の北上諭志との共著『デビルズ・ダンディ・ドッグス』(太田出版)、『ゴミ屋敷奮闘記』(鹿砦社)。
●公式ブログ<http://ameblo.jp/rumrumrumrum/

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