Kindleでも読める30年前の名作プレイバック 第32回

第二部の戦闘シーンで一番盛り上がったのはワムウ戦!? 『ジョジョの奇妙な冒険 第二部』を振り返る

ーー今から30年前以上前、そう僕らが子どもだったあの頃に読みふけったマンガたちを、みなさんは覚えていますか? ここでは、電子書籍で蘇るあの名作を、振り返っていきましょう!

150705_rum.jpg(イラスト/村田らむ)

 かくして『ジョジョの奇妙な冒険 第一部』が終了した。ジョジョとディオが船上で相討ちするという、とてもドラマティックで、綺麗な終わりだった。

 実は綺麗な終わり方をする週刊少年マンガは少ない。常にしのぎを削る業界である。人気がないマンガは途中で打ち切られ、無残な終わり方になる。「主人公の戦いはまだはじまったばかりだ!! ●●先生の次回作にご期待ください」というやつである。

 逆に人気が高い作品は、綺麗な終わり方よりも、作品の延命に尽力するため、最後はグダグダになって終わることも多い。ジョジョ一部が綺麗に終われたのは、「二部に続く」という続編の方式をとったからだろう。このパターンのおかげか、ジョジョのシリーズはすべて、比較的幕切れがスッキリしている。

 こうして、『ジョジョの奇妙な冒険 第二部』が始まった。1987年、僕は当時15歳である。中学を卒業して高校に入学するくらいの歳だった。

 小学校の頃に比べたらマンガの話ばかりする子は少なくなったけど、それでも「週刊少年ジャンプ」(集英社)を読んでいる男の子は多かった。

「第一部で終わっておけばよかったのに。絶対失敗するよな」

 なんて、ネガティブな意見も聞かれたが、ほとんどの子は新展開にワクワクしていた。主人公は『第一部』の主人公、ジョナサン・ジョースターの孫、ジョセフ・ジョースターだ。

 ジョナサンと同じイギリス育ちなのだが、紳士とは言いがたい軽い性格をしている。正義感の塊で何事にもまっすぐ向かうジョナサンに対し、ジョセフは常にふざけているし、努力を厭う。ただし、内に秘める正義感や情熱は、ジョスター家の熱い血を引き継いでおり、友情や家族もとても大事にする男だ。

『第二部』の一番の成功部分は、ジョセフのキャラクターだと思う。とても愛されやすいキャラクターだ。ふざけている分、ジョナサンよりもとっつきやすい。

 そして戦闘方法も、いわゆる少年マンガのキャラクターとは少し違う。ジョセフはあまり強いキャラクターではない。今回の敵である柱の男たちと比べたら、単純な戦闘能力は比べ物にならないほど弱いし、波紋使いとしても、師匠やライバルよりも勝ってはいないと思う。パワーではなく、工夫やトリックなどを凝らして知恵で勝つのだ。ジョセフにとって戦闘は常に逆境であり、ギリギリでなんとか勝利する。

 そんな戦闘シーンは、常に緊張感がある。『第一部』では味方は、師匠であるツェペリと、能力者ではないスピードワゴンくらいだったが、『第二部』ではツェペリの孫であるシーザー・アントニオ・ツェペリが登場する。ドラゴンボールのクリリンと同じ立場で、主人公と一緒に修行をするため読者は感情移入をしやすい。そして十分に感情移入をさせた所で、非業の最期をとげるため、それ以降の戦いにグッと身が入る。
 
そもそも、『第二部』の敵は、ジョジョシリーズの中で唯一人類ではない。「柱の男」と呼ばれる、年齢1万歳を超える生物である。ディオが吸血鬼になるキッカケを作った、石仮面をかぶった生命体だ。もちろん生命力やパワーは、吸血鬼をはるかにしのぐ。

 ……そう書くと、あのディオより、うんと強い敵キャラクターなのか!! と思うのだが、実際に敵キャラとしてはディオよりも劣る。ディオは主人公ジョナサンと幼少期から過ごし、読者的にも第二の主人公として、かなり強い思い入れを持っている。もちろん、倒さなければならない敵だし、憎しみや怒りもあるのだが、そこには“友情”もあった。

 それにくらべて「柱の男」たちは、主人公ジョセフとは関係ないのだ。確かに強いけれど、それはアフリカのライオンが格闘家より強いというのと同じようなものだ。そりゃそうだけど、だからなに? ってやつなのだ。

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