バキシムの可愛い手に、ビーコンのプルプル感! POLYSICS新作は“ウルトラ怪獣”愛に溢れすぎ!?

2015.07.08

POLYSICSによる“怪獣愛”の詰まったHEN 愛 LET’S GO! 2 ~ウルトラ怪獣総進撃~

 突然だけど、普通の人は「怪獣」と聞いて何を想像するのだろうか。“普通”と言うのもなんだかヘンだが、まあつまり「特撮とか怪獣とかを特別好きというわけでもない人」という意味だ。

 考えてもわからないので、人に会うたびに聞いてみた。

「え。……ゴジラですかねえ?」(26歳女性・会社員)
「やっぱゴジラかな」(31歳男性・会社員)
「ゴジラ! あとキングギドラもわかりますよ」(20歳男性・大学生)

 というわけで、筆者の周りでは圧倒的にゴジラを挙げる人が多かった。うーむ、さすがは日本を代表する特撮作品なだけある。

 しかし、忘れてはいけない。怪獣が『ゴジラ』シリーズの専売特許ではないことを。同じ円谷作品である『ウルトラ』シリーズにも、これまでに軽く数百種類もの怪獣が登場している。「そういえば、オレも子どもの時に『ウルトラマン』のビデオを見ていたなあ」と思い出す方も多いのでは。

 姿形、攻撃方法、性格(?)も多彩な怪獣たちは、1966年に放映された『ウルトラQ』『ウルトラマン』を皮切りに、当時の日本に「怪獣ブーム」と呼ばれる社会現象まで引き起こした存在である。

 ギリギリ昭和生まれである筆者の世代にはゲーム『ポケットモンスター』に入れこんだ者がとても多いが、ポケモンだって “モンスター”の名の通り怪獣だ。テレビの向こうに現れる怪獣の姿に毎週見入っていた怪獣ブームの頃の子どもたちと、新種のポケモンの登場に一喜一憂しては通信ケーブル(古い)持ちの同級生にタカりまくった我々。

 媒体やサイズ感は違えど、人間のイマジネーションから生まれる架空の生き物である“怪獣”にはやはり、人の心を強く惹きつける何かが宿っているのかもしれない。

 さて、世界中にファンを持つニューウェイブ・ロックバンド、POLYSICS(ポリシックス)のリーダーにしてボーカルであるハヤシ氏も、実はそんな“怪獣”に心を奪われ続けてきたひとりなのだという。

 今回リリースされたミニアルバム『HEN 愛 LET’S GO! 2 ~ウルトラ怪獣総進撃~』は、タイトルからもわかる通り、『ウルトラ』シリーズに登場する怪獣をモチーフに制作された作品。ちなみに前作の『HEN 愛 LET’S GO!』は、やはりハヤシ氏が偏愛する食べ物や飲み物を歌ったアルバムで、「GT(Great Tan-men)」「ラスポテトメモリーズ」など謎のタイトルが並んでいる。「怪獣」をテーマにした今作は一体どんな内容なのか。まずは収録曲を見てみよう。

1.怪獣殿下 ~古代怪獣ゴモラ登場~
2.怪獣チャンネル ~電波怪獣ビーコン登場~
3.From バンダ星 ~ロボット怪獣クレージーゴン登場~
4.宇宙からの贈りもの ~火星怪獣ナメゴン登場~
5.We are Oil Lovers ~ペスター、タッコング、オイルドリンカー登場~
6.怪獣サインはV ~球好き怪獣ガラキング登場~
7.燃えろ!超獣地獄 ~一角超獣バキシム登場~

 いやあこれは良いチョイスですね。やっぱゴモラは外せないですよね、バキシムもインパクトありましたしね……と、特撮大好き人間はつい鼻の穴が膨らんでしまうが、「なんのことやら」という方も多いに違いない。そもそも、『ウルトラマン』自体は見たことがあっても、いちいち怪獣の名前なんて覚えていないほうが普通だろう。

 上記の曲名に挙げられた怪獣の初登場作品を挙げると、以下のようになる。

ゴモラ……『ウルトラマン』第26話「怪獣殿下(前篇)」・第27話「怪獣殿下(後篇)」

ビーコン……『帰ってきたウルトラマン』第21話「怪獣チャンネル」

クレージーゴン……『ウルトラセブン』第38話「勇気ある戦い」

ナメゴン……『ウルトラQ』第3話「宇宙からの贈りもの」

ペスター……『ウルトラマン』第13話「オイルSOS」

タッコング…『帰ってきたウルトラマン』第1話「怪獣総進撃」・2話「タッコング大逆襲」

オイルドリンカー……『ウルトラマンタロウ』第1話「ウルトラの母は太陽のように」

ガラキング……『ウルトラマンタロウ』第50話「怪獣サインはV」

バキシム……『ウルトラマンA』第3話「燃えろ! 超獣地獄」

 怪獣は、『ウルトラQ』から『ウルトラマンタロウ』まで、比較的初期の『ウルトラ』シリーズから1~2体ずつ選ばれたようだ。

©円谷プロ

 たとえば一曲目の「怪獣殿下 ~古代怪獣ゴモラ登場~」は、初代『ウルトラマン』の26~27話に登場した「ゴモラ」がモチーフ。1億5000万年前に生きていたゴモラザウルスという恐竜の生き残り(という設定の怪獣)で、孤島でひっそり生き延びていたところを「こりゃ珍しいから万博で展示しよう」と人間側の勝手な都合で生け捕りにされ、暴れたところをウルトラマンに始末された、なんとも気の毒な怪獣だ。

 曲を聴いてみると、ゴモラの咆哮から始まり、畳み掛けるような歌唱が続く。

殿下殿下殿下
マニアマニアマニアおさむ
切れて目覚めた目覚めた
USG麻酔銃
六甲山フォール

 怪獣の存在を無邪気に信じるオサム少年、ゴモラを生け捕りにするために使われたUSG麻酔銃、運ばれている最中に六甲山に落っこちたエピソードなど、ゴモラ回に登場したさまざまな要素が、POLYSICSらしい奔放で鮮やかなメロディで歌われる。遊び心はたっぷりであるもののキワモノではない、音楽自体を楽しめる仕上がりになっている。

 ゴモラの魅力について、ハヤシ氏はこんな熱いコメントを寄せている。

「前方にグイッと出た首、インパクト抜群の巨大な三日月形の角、切れても攻撃してくる大きなしっぽなど、王道のルックスが魅力的。まさに『ウルトラ怪獣を代表する怪獣』! ファンにとっては有名な大阪城を壊すシーンを観ながら、高速ブレイクビーツとハードなリフのアイデアが浮かんだ。自分のしっぽが切られたことに気付かず、そのしっぽでウルトラマンを攻撃しようとするシーンは俺にとって激萌え!」

編集部オススメ記事

注目のインタビュー記事

人気記事ランキング