『ウルトラセブン』には“幻のアンヌ”が存在した！話題の特撮誌「特撮秘宝」で奇跡の再会を果たした“2人のアンヌ”の裏話

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「別冊映画秘宝　特撮秘宝vol.1」（洋泉社）

　特撮雑誌の休刊が続く中、発売2日で増刷、現在３刷りという特撮雑誌「別冊映画秘宝　特撮秘宝vol.1」（洋泉社）が話題だ。

「特撮秘宝vol.1」は個性派映画雑誌「映画秘宝」の別冊で、同編集部ではこれまでも『ウルトラセブン研究読本』『初代ゴジラ研究読本』など、濃厚すぎる特撮ムックを発売している。今回の「特撮秘宝」も、メジャーとはとてもいえないキャラクター、ジェット・ジャガー（『ゴジラ対メガロ』）を表紙にするなど、常人には理解しがたいセンスだ。

　その「特撮秘宝」の記念すべき創刊号の目玉は、なんといっても「幻のアンヌと永遠のアンヌ」2人のアンヌの再会である。『ウルトラセブン』の友里アンヌは、特撮界で最も有名なヒロインであり、演じたひし美ゆり子も特撮界最大のアイコンとなった。しかし、そのアンヌは、実はほかの女優が演じるはずだったのだ。

　当初キャスティングされていたのは、東宝女優・豊浦美子。しかし映画への出演が決まり、役を降板。撮影前に、アマギ隊員役・古谷敏と一緒に撮られたスナップの、赤いスーツを着て物憂げな視線を流す姿だけがファンの記憶に残っていた。その後、『ウルトラセブン』の大ヒットとひし美ゆり子の活躍は、ご承知の通り。一方、豊浦美子は女優業を引退し、その行方がわからなくなっていた。その奇跡の再会に密着したのが「特撮秘宝」の記事である。記事を担当したライターの友井健人氏に、再会の裏側を伺った。

――ひし美さんと豊浦さんの再会のきっかけは？

「ひし美さんは『私の運命を変えた人』にずっとお会いになりたかったそうです。東宝で豊浦さんと同期の水沢有美さんの仲介で、最初は電話で40数年ぶりにお話しされました」

――電話では、どんな話をされたのでしょう？

「ウルトラセブンが始まる1年ほど前に、ひし美さんと豊浦さんはコカ・コーラのCM撮影で共演されたのですが、そのスタジオで撮影中にボヤに遭った思い出話などで盛り上がったようです(笑)」

――なぜ神戸で再会だったのでしょう？

「女優を引退された豊浦さんが近くの西宮市在住だからですが、ウルトラセブン初の前後編エピソード『ウルトラ警備隊西へ』が神戸ロケ編で、ひし美さんも馴染みがある街だからですね」

――イベントで100人以上のファンの前で再会ということになりました。

「2012年に、ひし美さんは『ウルトラ警備隊西へ』のロケ地巡りとイベントでも神戸を訪れていて、そのときに協力した灘区役所と灘百選の会が主催する市民講座『灘大学』が再び協力して、イベントが実現しました。ひし美さんが、初代ウルトラマンのスーツアクターと、ウルトラセブンのウルトラ警備隊アマギ隊員役で知られる古谷敏さんも呼ばれて、豪華なイベントになりました」

――豊浦さんは、サプライズで登場されたのですね。

「そうです。最初は豊浦さんはイベントに出るのは躊躇されていました。しかし、ひし美さんの熱心なラブコールで、決心されたのです」

――大勢のファンの前で豊浦さんはどんな様子でしたか。

「緊張されている様子はなく、ユーモアたっぷりにお話しされていました。ヒロイン交代の有名なエピソードで、豊浦さん用に作られたユニフォームをひし美さんが着たから胸が目立ったという話があります。それについて『ウエストはブカブカだったでしょう？』とコメントされて、会場は和やかな笑いでいっぱいでした(笑)」

――「特撮秘宝」の記事の見どころは？

「イベントの前、再会した瞬間から密着レポートしています。豊浦さんは、なんとウルトラセブンの台本を保管されていて、それも初公開しています。これは、ヒロイン交代の動かぬ証拠ですね。ウルトラセブンは、主人公のダンとヒロインのアンヌのラブロマンスでも有名です。豊浦さんは現役時代にラブシーンを演じる機会がなかったので、ぜひご自分がやってみたかったそうです。『もし豊浦さんが降板しなかったら、自分はどうなっていたのかしら』と、ひし美さんはあらためて感慨深げでした」

「特撮秘宝」の内容は、そのほかにも『ゴジラ対メカゴジラ』に出演した謎の歌手、ベルベラ・リーンを追いかけて台湾まで取材に行った記事、『ウルトラセブン』を徹底研究した新事実77、庵野ゴジラについてのゴジコン（ゴジラ戦略会議）直撃取材、川北紘一追悼特集など、ほかでは見られない徹底取材記事ばかり。今後の展開からも目が離せない。